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「スーパーシティ法案」成立 AIなどで都市開発の概念変わる 不動産投資家も意識変革を

政策/街づくり ニュース

2020/05/31 配信

AIやビッグデータ活用の未来都市
行政、移動、医療、教育などを連携

人工知能(AI)やビッグデータを活用した最先端都市「スーパーシティ」の実現構想を盛り込んだ国家「戦略特区法改正案(スーパーシティ法案)」が27日、国会で成立した。行政、移動、医療、教育など、あらゆる分野を最先端技術でつなげる「丸ごと未来都市」を実現する構想である。移動の利便性などを重視してきたこれまでの都市開発の概念を変える可能性があり、不動産投資家も物件選びにあたっては、意識の変革が求められそうだ。

政府の資料から
政府の資料から

政府は2030年ごろのスーパーシティ導入を目指している。地域を限って規制緩和を行う現在の「国家戦略特区制度」を活用し、特定の地域を「スーパーシティ」に指定する。

法律が通れば、政府は、スーパーシティ構想を進めたい自治体を募集する考えだ。すでに自治体からスーパーシティのアイデアが寄せられており、5月8日現在で、54の自治体などからアイデアが集まった。

折しも、新型コロナウイルスの感染拡大で、オンライン会議などを使ったテレワークが一般的になり、最先端のIT技術に対する関心は高まっている。こうした機運は、スーパーシティの導入を後押しする可能性がある。

まずは、スーパーシティとはどんなものなのか、見てみよう。
政府は、スーパーシティでは次の10の領域のうち、少なくとも5以上をカバーし、生活すべてにまたがることが必要だとしている。

その10領域とは、@移動A物流B支払いC行政D医療・介護E教育Fエネルギー・水G環境・ゴミH防犯I防災・安全、だ。

移動は自動走行、買い物はキャッシュレス
役所への申請もオンラインで

具体的に、どんな生活が実現するのか。

たとえば、移動に使う車はすべて自動走行になり、買い物などでの支払いは、すべて現金の不要なキャッシュレスとなる。
医療や介護のサービスも、オンラインの遠隔システムを使って、自宅で受けられるようになる。教育も同じだ。こうした形のサービスは、新型コロナを受けたテレワークの普及で、多くの人から、あまり抵抗なく受け入れられるだろう。

そして、役所へのさまざまな申請の手続きも、たくさんの書類を提出する必要がなくなり、パソコン端末さえあれば、自宅からすませることができるようになる。

政府が先行例と位置づける都市が海外にある。たとえば中国・杭州市だ。
ここでは、道路のライブカメラ映像をAIが自動で集め、異常と判断した場合には警察へ自動通報する。通報は多い日で500件あるという。また、交通の状況に応じ、信号機の点滅を自動で切り換える。一部の地域では、自動車の走行速度が15%上がったという。

このほか、無人のコンビニエンスストアを展開。スマートフォンのアプリなども必要とせず、顔認証だけでキャッシュレスでの支払いができる。

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こうした便利なサービスの実現の前提として、政府は、企業や住民などからさまざまな分野の情報を集める「データ連携基盤」を作り、各種のサービスに活用する仕組みを作るとしている。

ただ、これについては、「個人情報が正しく管理され使われるのか」といった懸念が指摘されている。個人からの同意や住民の合意を取りつける仕組みも必要だが、具体的な制度設計はこれからだ。

「移動の利便性」軸の都市開発は終わる
投資家はより綿密な分析で物件探しを

では、不動産業界にはどんな影響を与えるだろうか。
一般財団法人「日本不動産研究所」(東京)企画部主幹で、不動産鑑定士でもある幸田仁さんは、今後、スーパーシティがいくつかの地域で導入されてうまくいき、それをきっかけに日本人の意識が変わった場合、「これまでのように、通勤をはじめ、移動の利便性を軸にした都市インフラ開発ではなくなる」とし、不動産マーケットのあり方が大きく変わると予測する。

ICTを活用した次世代交通サービス「MaaS(マース)」や自動運転、第5世代(5G)移動通信システムなどが身近になり、オンラインによるテレワークも一般的になる。「ネットを通じた『職住近接』」が可能になるというわけだ。

この結果、「これまでのように駅近か、人の集まる商業施設に近いか、といった要素だけに左右される価格形成でなくなり、より多様な価値観に応じた、地域のポテンシャルに応じた価格形成になるのではないか」(幸田さん)。

たとえば、「快適性とかネットの接続環境とか、さらには、キャンプが近くでできるかとか、昆虫採集が可能かとか、暮らしの環境が重視されるようになるだろう」とする。

そして、幸田さんは投資家に対し、「単純に『駅から徒歩何分』といった点だけを見て判断するのではなく、どういう職業の人が住んで、どういう地域の志向があり、どれだけMaaSが整っているのか、などを、よりこまめに分析し、物件を探すようにしたほうが良い」とアドバイスする。

繰り返すが、折しも新型コロナウイルスの感染拡大で、IT技術を活用したテレワークが定着してきた。この流れは、スーパーシティの理念の普及を後押しするだろう。
本格的な次世代型の技術革新社会の到来に備え、投資家も意識を変革していきたい。

取材・文 小田切隆

【プロフィール】 経済ジャーナリスト。長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。ニュースサイト「マネー現代」(講談社)、経済誌「月刊経理ウーマン」(研修出版)「近代セールス」(近代セールス社)などで記事を執筆・連載。

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