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足立区の刑法犯認知件数がピーク時から8割減! 足立区役所に治安改善の背景を聞いた

政策(不動産投資関連)/街づくり ニュース

2021/04/30 配信

刑法犯認知件数23区最悪を脱出!
人口比で9位、面積比で2位まで改善

足立区はこれまで「治安が悪い」というイメージと戦ってきた。実際に東京23区で最も刑法犯認知件数が多かった時期もある。

しかしながら令和3年の各種調査では、刑法犯認知件数が大幅に減少し、区民のまちに対するイメージも改善しているようだ。

あだち広報
あだち広報2021年2月25号の表紙で治安改善がPRされた。(出典:あだち広報)

足立区の刑法犯認知件数が最も多かったのは平成13年で、年間1万6843件。それが令和元年は4764件まで減少した。さらに令和2年は3693件まで減少している。

刑法犯認知件数の推移
変化が目立つところとしては、空き巣被害が平成13年の年間806件から令和2年の41件まで減少している。(出典:足立区ホームページ)

この大幅な改善は区内で全戸配布される「あだち広報」の一面に大きく取り上げられた。

足立区の人口は平成13年以降も緩やかに増加しているため、人口比で見た刑法犯認知件数の割合も低下している。東京23区の比較では、良いほうから数えて9位。面積比では2位となった。

「足立区=治安が悪い」という
負のイメージが定着した理由

そもそも足立区はどうして治安が悪いというイメージが定着してしまったのか。足立区役所に尋ねてみた。

「足立区以外の22区と比べて刑法犯認知件数が極端に多いというわけではなく、人口比や面積比の順位は真ん中あたりでした。しかしながら、刑法犯認知件数だけでみると23区ワーストだった事実と、マスコミ報道などによる負のイメージによって、治安が悪いというイメージにつながったと思われます。

なお足立区の刑法犯認知件数で大きな割合を占めるのは自転車盗です。23区内でも人口が多い上、土地の起伏がほとんどないために自転車登録台数が多く、下町という土地柄、自転車に鍵をかける習慣がない人も少なくないことが理由であると考えています」

ちなみに、人口や面積による違いがあるため単純比較はできないが、令和2年の刑法認知件数を見ると江戸川区が3761件、渋谷区が3471件であり、足立区に近い数字となっている。

23区で最も少ないのは文京区で912件。最も多いのは新宿区で4739件であった。刑法犯認知件数は、警視庁のホームページで確認できる。

約6割の足立区民は治安改善を実感し
約半数が区に誇りを持っている

足立区の世論調査によると、平成25年あたりまで「治安がいいと思う」よりも「治安はよくない」と回答する区民が多かった。令和2年には61.6%の人が「治安がいいと思う」と回答している。

足立区世論調査
6割以上の区民も治安改善を感じている。(出典:あだち広報https://www.city.adachi.tokyo.jp/documents/51275/20210225_0203.pdf)

世論調査は昭和47年から毎年実施。対象者は、無作為に抽出した20歳以上の区民3000人。調査方法は、郵送配布・回収法による。令和2年度の回収率は59.2%だった。

「体感治安の改善は『治安対策』を『子どもの学力向上』『健康寿命の延伸』『貧困の連鎖の解消』とともに区のボトルネック的課題に位置付け、課題解消に向けて真正面から取り組んできた結果です。

体感治安の向上という明らかな成果が出ただけでなく、それに呼応する形で『足立区に愛着をもっている』の調査結果について、令和2年度は『そう思う』53.4%、『そう思わない』26.7%となり『そう思う』が過去最高値を更新しました」

ビューティフル・ウインドウズ運動など
足立区の多様な取り組みが実を結んだ

具体的にはどんな取り組みが治安改善につながったのか。

平成21年12月に、足立区は警視庁生活安全部と治安再生事業に関する覚書を取り交わした。以降「ビューティフル・ウインドウズ運動」を中心とする防犯運動を展開している。

「ビューティフル・ウインドウズ運動」はアメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案した「割れ窓理論(ブロークン・ウインドウズ)」に基づく運動だ。

「割れ窓理論」は「1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増え、まち全体が荒廃する」という理論である。

窓ガラスが割れたまま放置されているということは、そこに関心を払う人がいないということ。道端にゴミが放置されている場所も同じだ。こうしたところで犯罪が発生するため「美しいまち」をつくることが犯罪抑止につながる。

1990年代にニューヨークは「割れ窓理論」にならい、警察官を増員して軽犯罪の取締りを強化した結果、軽犯罪のみならず重大な犯罪も大幅に減少したという事例もある。

犯罪被害防止を訴えるラッピングを施したバスが区内を3台走行している。(出典:足立区ホームページ. https://www.city.adachi.tokyo.jp/kikikanri/bosai/bohan/bus.html)
犯罪被害防止を訴えるラッピングを施したバスが区内を3台走行している。

足立区が「ビューティフル・ウインドウズ運動」をスタートしてから10年以上がたち、その成果が現れている。例えば、空き巣被害はピーク時の約20分の1まで減少した。

自転車盗対策も進んでいる。町会・自治会等をはじめとする区民との連携、区内の警察署や警視庁本部との連携、認知件数の約3割を占めていた自転車盗対策として「愛錠ロック大作戦」(駐輪場等でカギをかけていない自転車に区職員や警察官がカギをかけて回る)の推進などにより認知件数が減少した。

引き続き足立区は自転車盗対策、万引き対策、特殊詐欺対策などの問題に対して、積極的に取り組んでいく構えだ。

「現在も刑法犯認知件数のうち自転車盗は約3割を占め、万引きは約1割を占めています。これらを減少させるべく、今後も各種対策を講じていかなくてはなりません。

特殊詐欺被害の認知件数は、2021年に都内で増加している中、足立区ではATMに携帯電話抑止装置を設置することで減少しました。装置の増設に向けて、金融機関に協力を求めています」

治安改善の指標となる数字や、足立区の世論調査の結果、課題に取り組む姿勢は、入居付け時のアピールなどにも使えそうだ。

治安を理由に足立区を避けることは、あまり合理的な判断ではないのかもしれない。

健美家編集部(協力:外山武史)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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