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民法改正で変わる、賃貸住宅標準契約書のポイントはここ

政策/制度・サービス ニュース

2018/03/05 配信

改正民法のうち、住宅の賃貸借契約に関する改正の概要については分かりやすいパンフレットも作られている
改正民法のうち、住宅の賃貸借契約に関する改正の概要については分かりやすいパンフレットも作られている

2017年6月に公布された改正民法の施行予定は平成32年4月1日。残すところ2年余だが、それに伴って賃貸住宅標準契約書の再改訂版が検討されている。

最終的な確定はまだしばらく先になるだろうが、大筋はさほど変わらないはず。現時点で分かっていること、分からないことを整理しつつ、標準契約書の予想される変更点を基本に賃貸経営者に影響を与えるポイントをみていこう。

●連帯保証人の責任に上限が

家賃保証会社利用が増えているが、それでもなお、貸す側からすると家賃滞納などの債務不履行に対する不安に対し、連帯保証人は大きな存在だ。現行の民法下では連帯保証人の責任の範囲は無制限だからだ。

だが、改正民法ではこの点が大きく変わる。連帯保証人が担保してくれる債務額に上限=極度額が設けられるのである。具体的には契約書に極度額が記載されていない、それが曖昧であるなどの場合には契約自体が無効とされるようになる。書面でなくてはいけないのは当然である。

●施行以前の契約はそのままで可?

ただし、改正民法施行以前に交わされた契約については基本、そのままで良いということになりそうだ。

もうひとつ気になるのは極度額をいくらにするかだが、この点については現時点では目安になりそうな額の提示はなく、今後、国土交通省などがなんらかの参考資料等を提示するような形になりそうだ。

また、これによって今後、家賃保証会社の利用が一層促進されることが想定される。それに伴い、これまで監督官庁がなく、法による規制のなかった業界に新たにルールが作られることになるだろう。

実際、すでに任意ではあるが2016年に業界団体が作られており、保証人に関する条文を保証会社利用とした場合の契約書についてのパブリックコメント募集が行われた(2018年2月25日まで)。

●滞納へのより迅速な対応が不可欠に

この改正点が不動産オーナーに与える影響としてはやはり、家賃滞納その他の事態が発生した時の対処法にこれまで以上にスピードが求められるという点だろう。連帯保証人が保証する範囲に上限が設けられるとすると、連帯保証人を押さえておけばという安易な考え方ではいられないのだ。

●連帯保証人に債務の状況を報告する義務も

入居者が滞納した場合、極度額が設けられるとはいえ、連帯保証人は迷惑をこうむることになる。そんな事態を事前に察知するため、連帯保証人から債務の状況について問合せがあった場合、賃貸人は遅滞なく情報を提供するべしという規定が改正民法と連動して設けられる。

この点からもオーナーは家賃の入金状況を常にリアルタイムで把握し、問合せがあれば速やかに応えられるようにする必要がある。もちろん、それが滞納を防ぐことであるのは言うまでもない。

●敷金の定義が明確化。全額返還が基本

現行の民法には敷金の規定はない。これまで慣例として支払うとされてきたが、今回の改正で新たに定義された。内容自体はこれまでの判決その他で言われてきた点と大きく変わることはないが、明記されたことでより厳格な運用が求められることになるだろう。

では、どのように定義されたか。名称は敷金でも、保証金でも良く、大事なのはその性格とされており、改正民法では以下のように書かれている。

敷金=いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう

さて、その敷金は@契約が終了して物件を引き渡した時、Aあるいは適法に賃借権が譲渡された時に債務額を差し引いて全額を返還しなければならないとされている。売却時には敷金を預かった者は一度清算しなくてはいけないわけだ。

また、契約期間中に賃貸人からの家賃滞納その他との相殺はあり得るが、賃借人からの相殺はないとするのも、これまでの解釈通りである。

●原状回復も明記、ガイドライン以上の拘束力?

現行民法では原状回復についても規定はなかった。だが、新たに条文が加わり、定義されたが、内容的には国土交通省の「原状回復のトラブルとガイドライン」に記載されているものとほぼ変わりない。その意味では実務的に変わるところはないのだが、ガイドラインはある意味、参考資料。ところが民法は法律である。

ガイドラインであれば、「そんなの知らない」でも通ったかもしれないが(非常にまずいことだとは思うが)、民法が明記している以上、知らないでは済ませられない。これまで以上にガイドラインに忠実な姿勢で対処していく必要が出てくるだろう。

以上、敷金、原状回復という、これまでトラブルの多かった点については、これまで以上に厳格な運用が望まれるというのが改正民法、賃貸住宅標準契約書の立場である。施行前に趣旨を理解、適法な運用をしたいところである。

●一部滅失、全部滅失、契約期間中の修繕にも変更

そのほか、賃借物の一部滅失、全部滅失に関する取扱い、契約期間中の修繕の取り扱いにも変更があったが、これについては大きくトラブルの種になる問題ではないので、改めて別の機会に説明したい。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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