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相続法の改正で「自筆証書遺言」がより簡単に!弁護士が教える「遺言書」作成セミナー

政策/相続 ニュース

遺産を巡って親族間でドロドロの相続争いが起こるのは何もテレビドラマや小説だけの世界ではない。親族間の話し合いだけでは解決せずに法廷に相続問題が持ち込まれる数も年々増えているという。特に「資産」を多く抱える不動産投資家にとっては「相続」は前もって備えておきたい問題である。
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「相続問題のほとんどは『遺言』さえあればもめなくて済んだものです。遺言書は50歳を過ぎたら書いたほうがいい。40歳くらいから試しに書いてみるのもお勧めです」と提言するのは東京都千代田区・隼町法律事務所の弁護士で、一般社団法人家族支援専門職協会の代表理事の高橋正樹先生。

同協会は医師や助産師、弁護士、介護福祉士など家族支援に貢献の意志を持つ専門職の集まりで、今年の9月から「弁護士が教える『遺言書』作成セミナー」を定期的に開催している。

高橋先生はM&Aが専門で、企業オーナーから親族への事業承継などで相続に関わってきた。また、家庭裁判所によって選任される「成年後見人」(認知症などで判断力がほとんどなくなった高齢者などの財産保護を行なう)や「相続財産管理人」(亡くなった被相続人に相続人がいない場合に相続財産を管理し、必要な清算手続きを行う)の経験から多くの相続の現場を見てきたという。

遺言がないとトラブルになるだけではない。中にはこんなケースもある。

「これは質素な暮らしをしている一人暮らしの男性が亡くなったときのことです。相続人は被相続人に債務があるかもしれないと考えて、全員が相続放棄をしました。

しかし、被相続人には1億円の預貯金があることがわかり、相続人のいない、宙に浮いた財産は国庫に入ることになりました。このように遺言がないばかりにせっかくの財産が親族のために使われないこともあります」

また、遺言書があったとしても記載が曖昧なために被相続人の望まぬ結果になったケースもある。

「自宅と預貯金を、同居する長女に6割、アメリカに住む次女に4割の割合で話し合って分けてください、という遺言でした。被相続人の遺志としては長女に自宅を、次女に預貯金をと考えていたのでしょうが、自宅は小さいながらも高級住宅地にあったので、思った以上の資産価値がつきました。そのため、長女が自宅を相続するとなると、遺言通りの割合で分配するには次女にお金を払わねばなりません。結果的に姉妹は自宅を売却して財産を分けることになりました」

このような体験から誰でも簡単に有効な遺言が書けるプログラムの必要性を感じ、セミナーを始めるに至ったという。また、セミナー開催の背景には、昨年7月に民法の中の相続に関する部分、いわゆる「相続法」が改正されたことで遺言書がこれまでよりも手軽に書けるようになったことも関係している。

日本でおもに普及している遺言には『公正証書遺言』と『自筆証書遺言』がある。前者は公証役場で公証人に作成してもらうもので、証人2人の立ち会いが必要。お金も時間や手間もかかる。対して、後者は自分ひとりででき、費用もかからないというメリットがある。

「ただ、これまでの法律では『自筆証書遺言』は遺言を遺す人が全文手書きしなくてはなりませんでした。相続させる不動産もすべて登記簿謄本通りに所在地や地番、地目、地積なども正確に記載する必要があり、特に高齢者にとってはこれが大きな負担になっていました。それが、今年1月からは『自筆証書遺言の方式の緩和』が施行され、パソコンで財産目録を作成し、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書などを別紙として添付し、その全てのページに署名捺印をする方法が可能になりました」

複数の不動産を所有する投資家にとってこれだけでも遺言書作成のハードルがだいぶ下がるのではないだろうか。

自分で自筆証書遺言を作成するときのポイントとしては以下の3つ。

@ 日付をきちんと入れる(「2019年11月吉日」などはNG!)
A 氏名を書き、認印でもいいから印鑑を押す(ただし、スタンプ式以外の印鑑)
B 別紙目録をパソコンで作成する。別紙(不動産の登記事項証明書や銀行通帳のコピー)には1枚1枚署名捺印する

もうひとつ、今回の相続法改正の大きな目玉としては「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立したことも挙げられる。

「相続の流れの手始めとしては、被相続人が亡くなるとまずは公証役場に行き公正証書遺言を探すことになります。ここで遺言が出てこないと『家探し(やさがし)』をして自筆証書遺言を探します。

このときに疎遠になった子どもがやってきて、自分に不利な遺言を隠ぺいするなどの問題がこれまでにはありました。2020年7月10日からは自分で作成した自筆証書遺言を法務局に保管できるようになり、遺言書の隠ぺいや変造、紛失といった心配がなくなります」

高橋先生によれば、遺言書を作成するのは自分の死後に無駄な争いを避けるといった「法的な意味」だけではない、という。

「遺言は自分の心を整理して、これからの人生の計画を立てるツールにもなります。遺言を作成する際には、財産を渡したい人と、自分が遺せる財産を書き出す作業をします。そうすると、自分の資産や負債の状態がよくわかりますし、『子どもにもうちょっと財産を遺してあげたいな』と思えば、新たな目標ができたりします。相続する側のことを考えて、あまり利用しておらず草刈りなどの管理が大変なだけの別荘は売却するとか、稼げる不動産に変えていくなど、資産の入れ替えを考えるキッカケにもなります」

こうした「自分の資産の棚卸し」をするためにも、人生の折り返し地点である40歳くらいからお試しで毎年遺言を書いてみるのも確かにいいかもしれない。

最終的に正式な遺言書ができあがり、来年7月10日以降に法務局で保管したい場合は、その前に専門家にチェックしてもらうことをお勧めする。たとえば、配偶者に多く相続させた場合、その後配偶者が亡くなった後の二次相続において多額の相続税が発生したり、遺留分を侵害する遺言の内容で相続発生後に遺族間で争いになったり、細かい遺言書の書き方により遺言の執行が困難になる、など細かい注意点があるそうだ。

一般社団法人家族支援専門職協会による「遺言の書き方」セミナーは参加無料で、参加者には書いた遺言書に間違いがないか無料で添削してくれるとのこと。毎週木曜日の13〜14時(今後、参加しやすい時間に変更する可能性もあり)のほか、月に1度のセミナーもある。次回の月イチ開催セミナーは11月26日18時〜 一般社団法人家族支援専門職協会のセミナールームにて。それ以降のスケジュールは家族支援専門職協会のサイトでチェックしよう。

取材・文 柏木珠希

【プロフィール】
フリーライター。著書に「大家さん! これからの投資はシェアハウス・ゲストハウスがおトクです!」(秀和システム)、「20代、持ち家なし、貯金100万円でも月収以上を稼げる『オモロー式』不動産投資講座』(プレジデント社)など。文京区にて築70年の長屋をセルフリノベーションしたカフェを経営した後、渋谷区の狭小ボロビルのオーナーに。その後、信州に移住。築150年の古民家に住んだ後、半分セルフビルドでマイホームを新築するなど、古いものを蘇らせることとDIYが得意。

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