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JR東西の地方52路線96区間が全て赤字!400万円の格安戸建などあるも賃貸需要注意!

都市計画・再開発(地域情報)/全国 ニュース

2023/01/11 配信

利用者の減少に悩むJR羽越本線。沿線での物件購入には注意が必要だ
利用者の減少に悩むJR羽越本線。沿線での物件購入には注意が必要だ

JR東日本の35路線66区間は赤字総額679億円
赤字額最大は山形・羽越本線の村上ー鶴岡間

JR東日本とJR西日本がこのほど、利用者が極端に少ないローカル線合計52路線96区間の収支を発表した。

それによると、本業でもうけられているかを示す営業損益は全線で赤字。少子化・過疎化や新型コロナウイルス禍で地方の鉄道経営があいかわらず厳しい実情が明らかになった。

不動産投資家に関連する話としては、こうした路線の沿線は安い物件が売りに出ていることだ。ある駅の近辺では400万円程度から戸建て住宅を買える。

ただ、こうした路線の赤字は利用客が少なく、入居者を見つけることが難しいことを物語っている。安い物件だからといって安易に飛びつき苦労しないよう、今回紹介する鉄道のローカル線の状況も参考に投資戦略を練っていただきたい。

JR東日本が発表したのは、2021年度の利用客数が少ない路線35路線の収支だ。

具体的には、輸送密度(=1キロあたりの1日の平均利用者数)が2000人未満の35路線66区間の収支。それによると、すべての区間が営業赤字となった。

JR東日本路線図

JR東1

JR東日本の資料から
JR東日本の資料から

営業赤字の合計額は約679億円。維持管理のためのコスト削減などが奏功し、20年度の707億円からわずかに改善したが、依然として高い水準だ。

少子化などで沿線の人口が減少していることに加え、新型コロナ禍で利用客の低迷が止まらないことが打撃となった。

区間別で最も赤字額が大きかったのは、羽越本線の村上駅(新潟県村上市)ー鶴岡駅(山形県鶴岡市)間で49億9800万円。次に大きかったのは、奥羽本線の東能代駅(秋田県能代市)ー大館駅(同県大館市)間で31億500万円だ。

100円の収入を得るのにいくら費用がかかるかを示す「営業係数」が最も大きかったのは、陸羽東線の鳴子温泉駅(宮城県大崎市)ー最上駅(山形県最上町)間で2万31円。続いて、久留里線の久留里駅(千葉県君津市)ー上総亀山駅(同市)間で1万9110円となった。

JR西日本の17路線30区間は赤字総額247億円
赤字額最大は島根・山陰線の出雲市ー益田間の35億円

一方、JR西日本が発表したのは、コロナ禍が本格化する前の19年度に輸送密度が2000人未満だった17路線30区間の19~21年度の平均収支。

それによると、営業損益が全区間で赤字となり、合計額が約247億円に達した。以前に発表した17~19年度とほとんど同じ水準で、厳しい状況は変わらないことが浮き彫りになった。
JR西日本路線図

JR西日本の資料から
JR西日本の資料から

区間別で最も赤字額が大きかったのは、山陰線の出雲市駅(島根県出雲市)ー益田駅(同県益田市)間で35億円。続いて紀勢線の新宮駅(和歌山県新宮市)ー白浜駅(同県新宮市)間で29億5000万円となった。

100円の収入を得るのにいくらの費用がかかるかを示す「営業係数」が最も大きかったのは、芸備線の東城駅(広島県庄原市)ー備後落合駅(同市)間の2万3687円。続いて大きかったのは、木次線の出雲横田駅(島根県出雲町)ー備後落合駅(広島県庄原市)間で7453円だった。

これらのデータを見ると、地方の鉄道が利用者減少と経営悪化で、いかに苦しんでいるかが分かる。

JRは長年、都市部のドル箱路線などで稼いだ収益で地方路線の赤字をおぎない、全体の経営を成り立たせるビジネスモデルを続けてきた。

しかし、新型コロナの感染拡大で都市部の路線も利用が減って収益が苦しくなり、こうしたビジネスモデルも維持することが難しくなっており、地方の赤字路線をどうしていくかが大きな課題になっている。

今後、JRは、赤字路線のあり方について、沿線の自治体と協議していきたい考えだ。

その際、路線の廃止、バスやBRT(バス高速輸送システム)への転換、インフラの保有と鉄道運行の主体を分ける「上下分離方式」の導入など、さまざまな方法が模索されることになる。

しかし、自治体には鉄道そのものを維持したいという考えも多く、「廃止ありきの議論はしたくない」として、なかなかJR側との協議のテーブルにつこうとしていないのが実情だ。今後、赤字路線をめぐる議論がどう推移していくのか、注目していきたい。

赤字路線のある駅周辺では400万~500万円の戸建ても販売
ただし空室率は25%超、客付けには戦略が必要

不動産投資家が気になるのは、こうした赤字路線沿線の物件へ手を出していいかどうかだろう。

たとえば、今回収支が発表された赤字路線のある駅周辺で売りに出ている投資用物件を検索すると、400万~500万円程度の戸建て物件が10件程度でてくる。想定されている表面利回りも12%以上あり、かなり高めだ。

価格は安くても、賃貸需要に気を付けなくては損をしてしまう(写真はイメージ)
価格は安くても、賃貸需要に気を付けなくては損をしてしまう(写真はイメージ)

投資家によっては現金でも十分に購入できる価格で利回りも高いので、魅力的な物件にみえる。

ただ、鉄道路線の収益が赤字ということは利用客が少なく、それだけ賃貸需要が少ないということが考えられる。

実際、この駅が立地している自治体の空室率を調べると25%を超えており、かなり高い。

つまり、安くで物件は手に入るが、入居者を見つけづらいという側面があるということだ。

逆にいえば、改装するなどして物件の魅力を高め、入居者を集める自信のある投資家にとっては、安くで収益性の高い物件を手に入れられるチャンスとなり、投資の選択肢を増やす上で最適だろう。

赤字路線のこれからの収益や見直しのありかた次第では、赤字路線に接続する別の路線の利用状況も変わってくる可能性がある。不動産投資家は、こうしたニュースにもアンテナを立て、物件価格と入居者集めの難易度のバランスも見極めながら、賢く投資戦略を練っていきたい。

取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • 「経済界」(株式会社経済界)
    「月刊経理ウーマン」(研修出版)
    「近代セールス」(近代セールス社)
    ニュースサイト「マネー現代」(講談社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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