JR『広島』駅では、いま駅ビル建替え工事が進められている。地上20階建ての新駅ビルは2025年春に開業予定。ビル内にはショッピングセンターやホテル、シネマコンプレックスなどが登場予定だが、何より期待を集めているのは“広島市民の足”である路面電車の電停が駅ビル2階に移設されることだ。
現在はJR改札が2階、電停は駅外の地上にあるため乗り換えがやや不便だ。しかし新駅ビルが誕生すると、JR在来線や新幹線改札から電停までスムーズに移動できるようになる。これは旅行者にとってもありがたい。
従来、広島の中心街は『駅(広島駅周辺)』と『まち(八丁堀・紙屋町周辺)』に分かれており、「買い物や食事に出かけるなら“まち”へ行く」という人が多かった。しかし、駅ビルの建替えや周辺の再開発によって中心街の勢力図が大きく変化。近年は「“駅”周辺で買う・食べる・遊ぶ」という若者たちも増え、JRの沿線力がにわかに高まりつつある。
そこでいま注目を集めているのが、JR『広島』駅から2駅隣に位置するJR『向洋(むかいなだ)』駅の土地区画整理事業だ。
マツダの企業城下町であり、
圧倒的な財政力で“子育てのまち”として注目を集める府中町
上図を見てお気付きかと思うが、安芸郡府中町は広島市に周囲をぐるりと囲まれている(同一市に囲まれた自治体は全国で府中町だけだという)。
実はこれまで何度も広島市との合併が噂されてきたが、マツダ本社が所在することで圧倒的な財政力を誇る府中町は、広島市に取り込まれることなく町独自の歩みを続けてきた。手厚い保育手当の支給や自校給食の実施に取り組むなど“子育てのまち”としても注目を集めているのは、豊かな町政の賜物と言えるだろう。
土地区画整理事業に伴い2024年春にJR『向洋』駅新駅舎が開業予定
そんな府中町の玄関口であり“町内唯一の鉄道駅”がJR『向洋(むかいなだ)』駅だ。同駅周辺では2002年に『向洋駅周辺青崎土地区画整理事業』の事業計画が決定。JR山陽本線の連続立体交差事業に合わせてまちの風景を一変する大がかりな開発計画が進められている。
ちなみに、JR『向洋』駅徒歩圏エリアでは土地区画整理事業地の青崎地区を筆頭に地価が軒並み上昇しているほか、駅徒歩圏で分譲された大規模マンションは第1期で総戸数の半分以上が成約となるなど、異例の好反響を呼んでいる。
広島駅ビルの建替え工事による「JRの沿線力アップ」や、土地区画整理事業による「まちの変化」、そして地域発展の「のびしろへの期待感」等の要因を受け、エリア人口が急増中の府中町『向洋』。
これから駅周辺では駐車場や賃貸住宅、テナントのニーズも高まっていくものと考えられる。まちが成熟する前の今だからこそ、様々な投資チャンスを狙うことができそうだ。
(健美家編集部)