中国・四国地方最大の都市として知られる広島市
複数の再開発プロジェクトが進行中
広島県の西部に位置し、県庁所在地・政令指定都市として知られる広島市。中区をはじめ8区で構成され、人口は約119万人と中国・四国地方で最大の規模を誇る。大手企業の支店や官公庁の出先機関が拠点を構えていて、大規模多目的ホールや運動施設、文化施設が充実していることでも知られている。

市の中心となる駅はJR西日本の山陽新幹線や山陽本線、芸備線、呉線、可部線が乗り入れる広島駅で、広島電鉄の路面電車の停留所である広島駅停留所が隣接している。
なお、広島駅のある南区と市最大の繁華街である紙屋町・八丁堀地区は距離が離れていて、JR線は中心市街地を迂回するように通っているため、市内交通で重要な役割を担っているのは広島電鉄の路面電車。同電鉄の運行する路面電車の路線長や車両保有数・乗降客数は日本一だという。
近年は広島市とともに人と環境に優しいとされるLRT(ライトレールトランジット:都市旅客鉄道)へのシフトを進めている。
広島市が中国・四国地方におけるビジネスやカルチャーの中心地であることは疑いようがなく、それを示すかのように複数の再開発プロジェクトが同時に進行している。その一つが、広島市や中国電力ネットワーク、朝日新聞などによる「元町相生通地区第一種市街地再開発事業」だ。

出所:ニュースリリース
対象となるのは紙屋町・八丁堀エリアで、朝日新聞社と朝日ビルディングが所有する旧広島朝日ビル跡地などの敷地が建設場所。県庁や警察本部、商業施設などに囲まれた市の中心部で、路面電車が走る相生通りにも面する。ここに高さ約160mで県内一の高さとなる高層ビル、5階建ての変電所棟、市営駐輪場を建設する予定だ。
高層ビルは地上31階建てで、高層部にはホテル、中層部にオフィス、低層部に広島商工会議所や店舗、駐車場が入り、電線類を地中化し新たに歩道を整備するなど公共施設も整備。2026年度に高層棟および変電所棟、28年度に駐輪所棟の竣工を目指し工事を進める。
施設が建つ中区には高さ約139mのドコモ広島大手町ビル、高さ約150mのリーガロイヤルホテル広島もあるが、それを超える規模のビルが建つことで、エリアの景観は大きく変わり、より多くの人が集まるに違いない。
近隣の再開発にも注目しよう。同じく中区の本通商店街では南北2棟の高層ビルの建設計画が進行中で、低層階には商業施設、高層階にはオフィスやマンションが入る予定。
両棟をデッキでつなぐという。完成時期は2031年頃を見込んでいる。八丁堀地区では広島YMCAなどを含む一帯が再開発され。地上15階、16階、28階のビル3棟が2028年度に完成する方針で、ここにもオフィスや住居、商業施設、さらには教育施設などが入る予定だ。
紙屋町の商業ビル「サンモール」を中心とした一帯の再開発を計画する準備組合も発足していて、最大で地上50階建てビルの建設を検討。富士見町では「ヒルトン広島」の建設が進められていて、今秋には支配人が22年秋の開業を目指すと公表し、地元を中心に約270名の新規雇用を計画していることも明らかにした。
さらにエリアを広げると、広島駅の南口では「広島東郵便局」が建替えられ、2022年秋頃に20階建ての「JPタワー広島」が完成。オフィスや店舗、駐車場が入る予定だ。
日本郵便が手掛ける複合施設には東京や名古屋、広島にある「KITTE(キッテ)」が有名だが、「KITTE広島」が生まれるかもしれない。
なお、現在は広島駅も再開発の真っただ中で、25年の春に始業施設やシネコン、ホテルなどが入る地上20階の新駅ビルが開業する。2階には広島電鉄の路面電車が効果で乗り入れ、駅前の公園も整備する方針だ。駅近くの旧JR広島支社も再開発の対象になっていて、26年ごろまでに方針が示されるという。

出所:日本郵便
他にも、J1サンフレッチェ広島の本拠地となる約3万人収容の「HIROSHIMAスタジアムパーク」が24年に開業、複合レジャー施設として再整備され26年に開業予定の「広島競輪場」など、同市の再開発プロジェクトはまだまだある。
これによりエリア全体の魅力が高まるばかりか、雇用も創出されれば経済の活性化が期待され、ますますまちは発展していくだろう。同市の総人口はここ数年横ばいで推移しているが、20年以降は減少に転じ、40年には115万人、60年には102万人になると推計されている。
これらの再開発によって未来が変わるかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))