広島城三の丸に商業施設などを整備
2026年度までに全施設の開業を目指す
16世紀末に戦国武将の毛利輝元が太田川河口の三角州築いた広島城。1958年に国の史跡に指定され、現在の天守閣は1958年に外観を復元して建築されたもの。内部は武家文化を中心に紹介する歴史博物館として使われている。

2006年には日本100名城(73番)にも選定された、広島城。そんな同所では現在、広島市が主体となり「広島城三の丸整備事業」を進めている。
遡ること2020年5月、広島市は「広島城基本構想」を策定し、「歴史・文化の発信拠点としての広島城の魅力の向上」「環境拠点としての魅力向上を通じた都心のトライアングルの回遊性の向上」を推進することを決定。
三の丸については、飲食・物販施設など、観光客・市民からニーズの高い施設とともに、歴史・文化の発信の中心的な役割を担う展示収蔵施設の導入を図ることとし、2021年7月には新たな機能導入の方針ならびに整備計画および管理運営にかかる基本的な条件を定めた「広島城三の丸整備基本計画」を策定していた。
事業の特徴は、都市公園で飲食店や売店などの収益施設(公募対象公園施設)の設置または管理を行う民間事業者を公募により選定する「Park-PFI(公募設置管理制度)」を採用したという点。
民間事業者が三の丸エリアに商業施設や多目的広場といった公園施設の整備を行う。これに関しては今年3月に、代表法人である中国放送を含む11社で構成される共同事業体「広島城アソシエイツ」が、公募設置等計画の認定を受けている。

出所:ニュースリリース
広島城アソシエイツは「温故知新」をコンセプトに、今後は魅力あるまちづくりを、2026年度までに2期にわけて進めていく。
具体的には、武家茶道・上田宗箇流の世界を身近に感じられる「SOKOカフェ(仮称)」をはじめとした飲食店や地元産品を扱う土産物店を整備。神楽などを上演できる多目的広場やマイカー駐車場も設け、観光客や市民が楽しめる場所とする計画で、第1期エリア(南側)は2025年3月、第2期エリア(北西部)は2026年9月ごろに開業する予定だ。
天守閣が閉鎖されることに伴い「広島城三の丸歴史観」も整備する。武具や古文書などを収蔵し、広島城下町の歴史・文化を紹介する博物館として展開する予定で、2階建ての建物の1階には観光案内も備える。2026年度に開業予定で、年間40万人の入館者数を目指す。
テレビ・ラジオ・新聞・デジタルメディア・SNSを使った情報発信も積極的に行い、多くの人に三の丸エリアの魅力を伝えるという。三の丸の整備に先駆け、周辺の球場跡地や中央公園広場も整備され、平和記念公園や広島市の中心的な存在である紙屋町・八丁堀の各種施設・観光スポットとも連携して集客に取り組み、広島都心の回遊性を高めていく。

出所:ニュースリリース
広島のまちは広島城を起点に発展し、今日にいたる。今回の整備事業で三の丸エリアが魅力的な場所になることで多くの人が集まり、その影響は周辺にも及ぶだろう。広島市自体は日本を代表する観光地のひとつだが、さらなるにぎわいの創出が期待される。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、広島城がある広島市中区の賃貸マンションの賃料は直近3年間で2.69%上昇している。「広島城三の丸整備事業」によりエリアのポテンシャルが高くなると、さらなる成長があるかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))