2018年11月17日既報ニュースで「北海道、日ハムの新球場が北広島市に決定。ホテル、温浴施設など併設で収益物件にも追い風か?」の記事であげられた通り、日本ハムは新球場を核とする球団本拠地「北海道ボールパーク(BP)」を北海道北広島市に2020年に着工し、23年3月の開業建設することを正式に発表している。
その時からの問題が、現在のJR北広島駅からBPへのアクセスの不便さであった。
BPを誘致した北広島市は観客輸送を1万3500人と予測している。
BPの収容人数が3万5000人だから4分の1がJRを利用する予測だ。
その大人数がBPと北広島駅まで約1.5kmをシャトルバスか徒歩で移動するのだ。
シャトルバスは乗るのに時間がかるので、多くの観客はJR北広島駅まで歩く事になるのだが、約20分かかるのだ。

※JR北海道広報資料
しかしBP発表時、JR北海道は新駅設置を未定にしていたが、ついに、12月11日にJR北海道は新駅の整備案を発表した。

ここまで時間がかかったのは、地元の自治体や住民が鉄道会社にお願いして開設する「請願駅」の方式をとったためである。
JR北海道は新駅の工事費を80億〜90億とし、工事費については「請願駅のため、工事費は請願者に負担してもらう」としている。
また工期は約7年で、仮に2020年度中に意思決定され2021年度から着手した場合、2027年度末開業となる。
地元紙記事によれば、「新駅に停車するのは普通列車のみとし、列車10両分にあたる長さ約200メートル、幅10メートルのホームを新設。
混雑時の安全を考慮し、ホームに停車する普通列車用の線路と、新駅を通過する特急、快速列車用の線路を離した位置に設ける1面4線構造とした。試合終了時に札幌行きの臨時列車が待機する「引き上げ線」も設ける。ナイトゲーム終了後約2時間で新駅と北広島駅からの輸送を完了させる。」となっている。

■新駅一体のマンション建設
現在札幌駅から北広島駅までは、朝6時台から夜は23時台まで110本以上もの列車で接続され、所要時間は快速エアポートで約16分、普通列車だと約27分である。
札幌により近い新駅は、もっと短い所要時間が予想される。
ただし北広島市の市長は新駅建設について、北広島市の負担で建設るのは「単独では重い」と明かしている。
それもそのはずで80億〜90億円と積算された工事費は、市の一般会計予算(平成31年度当初約264億円)の約3割を占める規模となるからだ。
請願駅として開業するのでJR側は「工事費は地元負担」の姿勢を崩さない中で、北広島市が考えるのが、新駅と一体となったマンション建設などの民間投資の呼び込みである。
ここで注目すべきなのが日本ハムファイターズが用意したWEBサイト「HOKKAIDO BALLPARK」であろう。
ここでは様々な構想が語られている。
野球以外にもボールパーク内に構想中のアリーナでミュージシャンのライブを開催したり、球場のレフト側に作られた建物の一部が宿泊施設になる事や、湖畔には北欧風サウナ&スパを建設したり、森に囲まれたボールパークの一角にレジデンスも計画中とある。
そして完成パースには新駅一体型のマンションらしきものが書かれている。
この新駅一体のマンションが整備されることにより、札幌駅から30分以内のエリアに新しい住まい先が定着することが期待される。
開発事業者を募集中としながらも、まだ事業者は決まっていないが、新駅が発表されて、この駅一体のマンション建設が現実味をえると、周辺エリアでの投資にも拍車がかかるものとみられる。
北広島の賃貸住宅は木造アパートが多く周辺には未利用地も多い。
すでに地元不動産業者では、将来に備え今の安いうちに土地を仕込んでいるものもいると聞く。
不動産投資の観点でも、入居者の確保、収益性や資産価値の高まりが期待できるだろう。
北海道と言えば札幌へ人口が一極集中しているが、今後益々北広島市は注目である。
執筆:J-REC教育委員 原田哲也
【プロフィール】
2010年より、一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)の北海道支部を立上げ、不動産実務検定の普及に尽くし、多くの卒業生を輩出。2018年よりJ-RECのテキスト編集、改定などを担当する教育委員に就く。
また自身が主宰する北海道大家塾は既に50回の開催を数え、参加人数も述べ3000人を超える。