北海道最大の都市はいまも人口増
札幌の不動産は投資妙味あり!
不動産投資に成否を握る、立地選び。皆さん苦心しているだろうが、今回は「人口」「開発」「資産価値」の観点で、北海道・札幌のポテンシャルを探ってみたところ、とても魅力的だとわかった。
日本では少子高齢化が本格的に進展した結果、多くの都市では人口減少が始まっているのはご存じの通り。人が減れば街の発展は行き詰まり、おのずと衰退していくばかり。
こういったエリアに収益物件を持っていると稼働率は徐々に悪くなり、資産価値も下がっていくかもしれない。入居者は入らず売ろうにも売れない……不動産投資の入り口から出口への流れが濁ってしまうわけだ。もし衰退しそうなエリアに物件を持っているなら、はやくに手を打っておきたい。
他方、東京や横浜を始めとする首都圏、東日本なら仙台、東海以西なら名古屋、大阪、広島、九州なら福岡、那覇空港の第2滑走路開通を控えリゾートホテルの建設などに沸く沖縄など一部エリアの人口は増加〜横ばい〜微減の状況で、大手デベロッパーの再開発プロジェクトは、これらの地域に集中。賃貸需要もまだあるので、不動産投資家もおのずと注目している。
とはいえ、首都圏の物件は価格が高く、なかなか手が出ない。では、程よい投資でリターンが期待でき、エリアの発展による資産価値増が狙えるのは、いったいどこだろうか。そのひとつが北海道最大の都市、札幌だ。

健美家では1月21日、2019年の不動産投資レポートを取り上げた。これによると、北海道は不動産妙味が高いとわかる。
■全国の利回り・価格(登録)
区分マンション:7.37%/1566万円
一棟アパート:8.88%/6501万円
一棟マンション:8.35%/1億5161万円
■首都圏と北海道の利回り・価格(登録)
▼首都圏
区分マンション:6.59%/1889万円
一棟アパート:8.45%/6956万円
一棟マンション:7.63%/1億7446万円
▼北海道
区分マンション:12.70%/620万円
一棟アパート:11.60%/4050万円
一棟マンション:9.21%/1億2464万円

出典:健美家 収益物件 市場動向 年間レポート2019年
北海道は全国平均・首都圏に比べて物件価格が低い分、収益性は高くなるわけだ。ただ、東北や東海、関西、中国・四国は数字上のパフォーマンスは北海道より高い。
とはいえ、エリアポテンシャルを考えると、優位性は北海道、とりわけ最大の都市である札幌に軍配が上がる。背景あるのは、人口増や活発な開発、それに伴う資産価値アップが期待でき、有利に不動産投資を進められるからだ。
まずは、人口。同市は2000年に人口182万人だったのが、現在は190万人を超える規模に拡大。ビジネスや歓楽の中心地ということもあり道内から人が集まり続け、当面はこれだけの人口規模を維持する見通しだ。昨年は東京オリンピックのマラソン競技が開催されることで話題になったが、2030年には札幌冬季オリンピック・パラリンピックの誘致を進めていて、同年には北海道新幹線札幌延伸も控えている。
こういった動きに伴い札幌市は2022年度までの中期計画「札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019」の素案を昨秋に発表。ここでは、22年度に北海道外からの年観光客数を626万人(18年度)から800万人、インバウンドを272万人(同)から350万人に増やす目標を掲げている。そのための都市インフラの充実を目的に、22年度から始まる地下鉄南北線さっぽろ駅の改良工事に13億円を投入。真駒内行き専用ホームを新設して混雑を緩和する。また、標識の多言語化や無料Wi−Fiの整備にも50億円を投じるという。

出典:札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019(案)まとめより
再開発も目白押しだ。昨年12月の『健美家ニュース』でもお伝えしたが、札幌市とJR北海道などJR北海道グループ4社は、札幌駅に隣接する地区を開発する「札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発準備組合」を設立。ホテルやオフィス、商業施設からなる超高層ビルの開発を計画し、2029年秋の全体竣工及び供用開始を目指している。
他にも、ヨドバシカメラホールディングスは2019年11月、今後3年以内を目処に札幌に複合商業施設をオープンすると公表。西武百貨店札幌店跡地を中心とした場所に超高層ビルの建設を構想している。「札幌駅北口8・1地区第一種市街地再開発事業」や「南2条西3丁目西地区第一種市街地再開発事業」も進行中だ。「北3東11周辺地区第一種市街地再開発事業」では、札幌駅の隣、JR函館本線の苗穂駅に駅直結のツインタワー分譲マンションが建つ。こういった再整備により、同市中心部はますます発展し、人口集中に拍車がかかる可能性は高い。

行政や民間による開発が多く、ますます利便性が高まりそうな札幌。これからが楽しみだ。町が発展する中で、中心部だけではなく周辺の資産価値もアップしていくに違いない。
例えば、札幌の公示地価は2000年代に入り一時落ち込み13年には9万4799円/uになったが、19年には13万円7418円/uまで回復し、6年連続で上昇。先述した健美家のレポートでも北海道の区分・一棟マンション、一棟アパートの価格は右肩上がりを描いている。
首都圏などに比べて物件価格は安く、他の地方都市に比べると人口増や発展は顕著。不動産投資のリスクとリターンのバランスが取りやすいのが札幌だ。すでに物件を持っている人はその恩恵に預かっているだろうし、これから買う人も心強いだろう。いずれにしても、札幌の進化はとどまることはない。収益物件オーナーにとって注目エリアのひとつなので、今後も注視したいところだ。
もちろん、札幌以外にも有望なエリアはあるに違いない。リサーチする際は、人口や再開発など、将来の発展を尺度にすればいいだろう。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)