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北海道・函館駅周辺で活発化する再開発。伝統的街並み・建造物の保存整備も同時進行

都市計画・再開発(地域情報)/札幌/北海道 ニュース

2022/08/30 配信

函館駅
函館駅

北海道函館市は、日本全国の市区町村魅力度ランキングで常に上位に食い込む人気の高い観光都市だ。

政治・経済の要所となってきただけでなく、早くから西欧文化が流入したことで異国情緒あふれる美しい街並みが形成された。

著名な文学者をも魅了してきた函館の歴史的・文化的価値の高い街並みは、「重要伝統的建造物群保存地区」に指定され、保存整備が進められてきた。近年は、五稜郭などの史跡の復原整備もおこなわれた。

一方、函館駅前などの中心市街地では、近年の空洞化対策から、観光拠点との連動をコンセプトに再開発が始まっている。

幕末から西欧文化流入の中心地となった函館
観光資源の街並みの保存と史跡の整備が進む

函館は、幕末に江戸幕府の直轄領になり奉行所が置かれてから、伊豆・下田とともにペリーが来航し開港を迫った政治・経済の歴史的要所である。明治維新時には、五稜郭が新政府軍と旧幕府軍との最後の戦いの舞台となった。

1859年の欧米5か国との修好通商条約締結以降、日本初の対外貿易港となり、早くから西欧文化が流入した。外国人が居留していたため、領事館やキリスト教会が建築され、異国情緒豊かな街並みが形成された。

ハリストス正教会から函館湾を望む
ハリストス正教会から函館湾を望む

昭和初期から戦後勃興期に活躍した文芸評論家の亀井勝一郎は、「函館八景」という随筆のなかで、函館の街並みに漂う異国情緒を、少年の日の思い出とともに賛美している。詩人・石川啄木も函館を愛し、数々の函館にちなんだ短歌を残した。

このように、歴史的・文化的価値の高い函館の街並みは、平成元年に日本全国でも数少ない「重要伝統的建造物群保存地区」の一つに指定され、保存が進められて来た。

その区域は、函館山山麓から港へ向かう斜面地の一部であり、重要文化財の旧函館区公会堂、ハリストス正教会から大三坂を下り、港際の金森倉庫群の一角に至る、コの字形の地域である。平成7年には「函館市都市景観条例」が施行され、より広い地域の景観形成に取り組んでいる。

「函館市伝統的建造物群保存地区」出典:函館市
「函館市伝統的建造物群保存地区」出典:函館市

保存地区内の伝統的建造物については、現状維持や復原修理のための基準を定め、それに基づく、管理、修理、復旧のための経費補助をおこなっている。また、伝統的建造物以外の建物については、景観と調和のとれるような基準を設けている。屋根や設備の形態や色彩などについて細かな許可基準がある。

観光資源の保存整備は街並みだけではない。五稜郭跡は、郭内の建物は大半が明治初期に解体された後、長らく未整備であった。

しかし、近年、綿密な発掘調査がおこなわれ、平成22年には函館奉行所が復元されるとともに、園路なども設けられた。当時を偲ぶ史跡としてだけでなく、観光資源としての価値にも配慮した整備が進んでいるといえる。

復元された函館奉行所
復元された函館奉行所

このような成果もあってか、函館の観光客数は、コロナ前の令和元年までは増加の一途を辿っており、530万人を超えていた。

コロナ禍によって300万人台まで落ち込んだものの、直近令和3年には回復の兆しを見せている。観光客数の実数以上に、市区町村としての函館人気は高い。魅力度ランキングでは常に上位に入っており、日本国民を引き付けて止まない都市であるといえる。

魅力度の高い観光資源を生かすべく、
函館駅前の再開発に着手

著名な観光地であり魅力度の高い函館も、人口減少とともに、商業店舗が郊外へと移転し、中心市街地の空洞化に悩まされてきた。

平成25年には、それまでの市街地活性化の取組みを見直し、「函館市中心市街地活性化基本計画」を策定した。

平成28年の北海道新幹線開業に合わせ、観光客を中心市街地に呼び込むべく、観光拠点と中心市街地の連動を基本コンセプトにしている。都市型観光サービスの充実や新たな観光名所の整備、回遊性を向上させるための交通網の強化などを盛り込んでいる。

「函館市中心市街地活性化基本計画」基本コンセプト 出典:函館市
「函館市中心市街地活性化基本計画」基本コンセプト 出典:函館市

平成29年には、「函館駅前若松地区第一種市街地再開発事業」により、函館駅前の旧和光ビル跡地に「キラリス函館」が竣工した。地上16階建てで、5階から16階に共同住宅が入り、その他スペースには「はこだてみらい館」や商業店舗などが入居する複合ビルである。

旧棒二森屋ビル
旧棒二森屋ビル

函館駅前では、平成31年1月に棒二森屋が閉店したことを受け、令和2年9月には「函館駅前東地区第一種市街地再開発事業」によってその跡地に再開発をおこなうことが決定した。

同事業では、「函館駅前東地区」をまちづくりの核とし、函館駅・朝市から松風町周辺まで歩行者の軸を作り、「美食」をキーワードに滞在型観光を目指すとしている。

その中心となる施設は、24階建てのホテルと、25階建ての共同住宅となる見込みだ。令和元年10月には、イオンモール・西松建設の参画が決定した。令和2年9月には、住宅事業をタカラ・レーベン、ホテル事業をケン・コーポレーションが手掛けることが決定した。令和8年の竣工・開業を予定している。

同事業が函館市中心市街地活性化の起爆剤となり、函館駅前は美食の街としてよみがえるのか。歴史的・文化的価値も高く、人気が高い都市だけに注目される。

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取材・文:佐藤永一郎(さとうえいいちろう)

FP不動産投資よろず相談所

■ 主な経歴

筑波大学大学院修了。2級FP技能士。
会計事務所で約10年、中小企業、不動産オーナーの節税コンサルティングや融資サポートなどに携わる。 スタートアップのCFO、監査役などを経て、築古戸建ての不動産投資家として独立。
不動産投資のコンサルオフィス「FP不動産投資よろず相談所」を運営。不動産投資や税金をテーマとした執筆活動もおこなう。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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