
※引用:札幌市
約15,000uの敷地で
再開発が完了
2022年9月30日に、北海道札幌市の苗穂駅前で「北3東11周辺地区第一種市街地再開発事業」の街びらきが行われた。
苗穂駅は札幌駅の隣駅で、函館本線または千歳線で1駅東に行ったところにある駅だ。
この再開発は2012年に都市計画決定後、2013年の苗穂駅移転橋上化工事から始まっている。
移転橋上化工事は、地上にあった駅を橋上化して新たな駅舎の脇を通行できるようにするというもの。
橋上化工事は2018年に完了、同年中に新たな苗穂駅が開業し、新たに設けられた南北の自由通路が供用開始された。

その後も駅前の整備が進められ、2020年には南北の駅前広場も全面供用が始まっている。
2022年5月には駅南口の目前に広がる北3東11周辺地区の再開発が完了し、9月には街びらきに至ったという経緯だ。

※引用:札幌市
なお、街びらきは9月に完了しているが、開発事業としては、苗穂駅の北側に通っている北8条通から伸びる「苗穂駅連絡通」の整備がまだ残っている。
上記の地図で黄色に塗られた区間の道路がまだ工事中であり、こちらは2022年度末までに工事が完了する予定だ。
なお、苗穂駅連絡通が開通した後は、上記の地図のちょうど真ん中に位置する「東9丁目踏切」が廃止される。

※引用:札幌市
この踏切は、1時間当たりの道路遮断時間が平均37分で、いわゆる「開かずの踏切」になっている。
新たな駅舎の脇と西側から北口側へ抜けられるようになるため、踏切は不要になるという判断を札幌市は下したようだ。
苗穂駅前は再開発施設の
完成によって利便性が向上
開かずの踏切に代わる通行路の完成は、周辺住民にとって大きな利便性向上のきっかけとなる。
その一方で、苗穂駅の南口は再開発施設の完成によって様々な都市機能が集約されることとなった。

苗穂駅南口の再開発は4街区に分けて進められ、住宅・オフィス・商業・医療といった基本的な都市機能を持った施設が新たに完成した。
C街区にある寺院とは、真照寺(しんしょうじ)という仏教の寺院を建て替えたもの。
A街区の建物とB街区の建物はそれぞれ地上25階建て・地上27階建ての高層マンションであり、下層階に商業施設が設けられた。
商業施設は「苗穂ヒラクス」という名称で、既にコンビニのローソンが開業している。しかし、他のテナントなどはまだ明らかになっていない。今後入居テナントの発表を待ちたいところだ。

首都圏など他のエリアから札幌を訪れる際は、大半の人が新千歳空港から快速電車などに乗って札幌駅へ移動するため、苗穂という駅自体、これまで印象の薄い駅だったことは否めない。
また、不動産投資の視点で見ても、北海道と言えばリゾートエリアを除くと最初の選択肢は札幌駅周辺になるので、これまで苗穂駅周辺に着目していた投資家も少ないのではないだろうか。
また、札幌市としても、苗穂駅周辺の再開発には札幌駅周辺の賑わいを周辺エリアに広げたいという意図を少なからず持っている。
今後は札幌駅周辺だけにはとらわれず、苗穂駅周辺に着目してみるのも良いのではないだろうか。
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取材・文:
(はたそうへい)