北海道新幹線の延伸開通が予定され、2030年度には遂に高速鉄道レールで東京から直結することになる『札幌』。現在、札幌駅周辺では新幹線新駅の開業を見据えて大規模な再開発が同時多発的に進められている。
すでに“タワマンの街”と化した『苗穂(なえぼ)』や、鉄道ネットワークの結節点である『琴似(ことに)』などJR沿線の街の再開発が関心を集めているが、中でも急激に期待値が高まっているのは札幌の隣駅である『桑園(そうえん)』エリアだ。
都心ながら「地下鉄が使えないこと」がネックに
「ビッグターミナル札幌の隣駅」「空港からも直結」「公共施設が集まる街」と聞けば、それだけでエリアポテンシャルの高さが感じられるが、実は意外にもこれまで『桑園』エリアの住まいニーズはあまり高くはなかった。なぜなら雪国・札幌で暮らす人たちにとって「地下鉄が使えない駅」は大きな減点ポイントとなるからだ。
真冬のJR沿線は、雪の影響による運行遅延が多くなるほか、何といっても駅やホームが極寒となるため電車の待ち時間が辛い。その点、地下鉄なら電車の遅れも無く、駅やホームが地下に潜っているので暖かだ。
また、札幌中心街の主なエリアは地下道でつながっており、滑りやすい地上の雪道を歩くことなく安心して移動できる。そのため、札幌住民の間では“住むなら絶対に地下鉄駅の近くがいい”という声が多いのだ。
JR北海道の桑園社宅跡地で再開発
札幌に近いのに、地下鉄が使えない駅──そんな『桑園』が改めて地元の注目を集めるようになったのは、2022年春。JR北海道肝いりの『桑園社宅用地開発計画』が正式に発表されたことがきっかけだった。
もともと桑園一帯には築50年を超えるJR北海道の社宅群があり、近年は建物の老朽化が課題となっていた。
空室率はなんと約4割。せっかくポテンシャルの高いエリアにありながら、入居者が埋まらない社宅を放置しておくのはあまりにももったいない。そこでJR北海道は「JR沿線価値の維持・向上とまちづくりへの貢献」を目的として、桑園地区の再開発を発表した。
2027年度までに225戸の分譲・賃貸を供給予定
桑園社宅の跡地には、JR北海道の賃貸住宅ブランド『Junord(ジュノール)』の11階建て2棟が2023年度末完成予定。さらに、10階建て賃貸マンションと11階建て2棟の分譲マンションが2027年度以降完成予定となっており、総戸数200戸超の住戸が供給されることになる。また、街区内にはJR北海道が運営する生鮮市場などの商業施設が設けられる計画だという。
“桑園=地下鉄が使えない駅”であることに変わりはないが、街の景観やロードヒーティングなどの機能が更新されることで、本来の街のポテンシャルが「正しく評価されるようになる」と考えると大きな期待が持てる。
また、既に開発が飽和状態にあり不動産価格高騰中の札幌駅周辺と比べると、今のところリーズナブルに感じられる点もこのエリアの魅力だ。
こうした『桑園』の街の変化に注目しながら、投機を狙ってみてはいかがだろうか?
健美家編集部