JR西日本と兵庫県姫路市は、JR山陽線「姫路」駅〜「英賀保(あがほ)」駅間(約4.6キロ)に新駅設置の方向で合意した。年内には覚書を交わし、具体的な建設場所や事業費負担などについて協議を始める予定だ。市は「2025年度までの開業を目指したい」としている。
市が25年度を目指すのは、25年度までに新駅の候補地に近接する手柄山中央公園の一部を再整備する計画があるため。同時期に開業できるように市がJRに要望していた経緯がある。総事業費は未定で、駅舎建設費の2/3程度を市が負担する意向だ。
先日「東京から地方へ。狙い目は姫路市、明石市等」として取り上げた姫路市。昨年(2015年)8月には「姫路駅前再開発との相乗効果はあるか?」でJR「姫路」駅東側のJR「姫路」駅/「御着」駅間で新駅ができる旨レポートした(その後2016年3月に開業)が、今度はJR「姫路」駅西側で新駅ができる。
前回の記事では「新駅効果よりも再開発への期待」という旨書いたが、それは「東姫路」駅周辺がそれほど集客力のある施設等がないためだ。だが、今回の新駅は少し違う。
市によると、新駅の候補地は手柄山中央公園の北西部周辺。新駅でアクセスが格段に良くなるこの手柄山公園、姫路市内では著名な集客力を持つ施設。
総面積は36ヘクタールあり、「頂上に立つ太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔を中心に、回転展望台・平和資料館・水族館・温室植物園・緑の相談所・文化センター・手柄山遊園・市民プール・中央体育館・陸上競技場・手柄山交流ステーションなど文化・スポーツ施設が集中(以上、姫路市サイトより)」している。
これらの施設毎に様々なイベントがあるわけであり、交通アクセスが悪い(JR「姫路」駅からバス)ことから考えても駐車場が混雑することも容易に想像できる。新駅ができることで同公園への集客力は高まり周囲の施設も少なからずその恩恵を受けるに違いない。
またこの新駅は「ターミナル駅との距離が近い」「駅前には複合公園施設」という点で2019年開業予定のJR嵯峨野線「京都」〜「丹波口」駅間にできる新駅と似ている。この京都の新駅駅前は梅小路公園で鉄道博物館や水族館が併設されている。
姫路の新駅、開発を伴う新駅設置で集客力を高めようとするJR西日本の本気が感じられる。
健美家編集部(協力:田中和彦)