与党検討委員会は3月15日、北陸新幹線の延伸ルート京都―新大阪間について、京都府京田辺市のJR松井山手駅付近に新駅を設ける「南回り」案の採用決定した。
北陸新幹線の延伸は、2022年度末に金沢―敦賀(福井県)間が開業する予定であり、昨年末には敦賀から京都までのルートが決定した。しかし、残る京都―新大阪間は、途中駅を設けず直結させる「北回り」と「南回り」の2ルート案が引き続き議論されていた。
国土交通省は7日、2案について建設距離や所要時間などの試算結果を公表。敦賀―新大阪間の所要時間は、北回りが約140km約43分で南回り(京田辺ルート/松井山手駅付近経由)が約143km約44分。投資効果を示す数値はそれぞれ1.08、1.05だった。
2案を比較した検討委員会は、投資効果などで大きな差はないが、中間駅を設置しない北回り案に対し、南回り案は新駅設置によりJR片町線(学研都市線)との接続があり地域経済への波及効果も大きいと評価した。
また、同じ南回り案でも「京田辺ルート/松井山手駅付近経由」が投資効果を示す数値が1.05だったのに対し、「京田辺ルート/新田辺駅付近経由」は0.97、「精華・西木津地区経由」は0.93だった。
大阪方面から金沢方面への移動は、特急サンダーバードの利用が速く、所用時間は約2時間40分。それが、北陸新幹線の延伸により新大阪から金沢まで約1時間20分に短縮される。
しかし、これによって大阪や京都にある住宅地の利便性が増すかといえば、特に変わりはないであろう。仕事で頻繁に北陸方面に通う人を除けば、金沢方面に速く行けたとしてもあまり恩恵はない。
だが、観光面を考えると、少し流れは変わりそうだ。大阪から金沢方面への移動時間が約半分に短縮になることで金沢の宿泊客が大阪に流れるかもしれない。観光客の宿泊需要はいろいろと不確定要素もありどうなるかは一概に言えないが、可能性はある。
もうひとつ、確実に言えるのは「松井山手」駅周辺の利便性が上がること。新幹線で大阪/京都に一駅で繋がる効果は大きい。
他の例ではJR「高槻」駅が同じような位置関係となるが、周辺の賃料相場/売買価格相場は「松井山手」駅周辺の方が断然安い。京都ー新大阪ルートの着工予定は2031年、開業は2046年と29年も先ではあるが、今後、同駅周辺への企業の進出やそれに伴う従業員向けの賃貸住宅、もしくはそのような効果を期待しての先行投資などが期待できそうだ。
健美家編集部(協力:田中和彦)