京都聖母女学院短期大学が2018年3月に閉校となる。
同学院は2017年度以降の学生募集停止を理事会で決定し文部科学省に届出を行ったとWEBサイトで発表した。
京都聖母女学院短期大学は1962年に設置された短大であり、とりたてて設立が古いわけではない。とはいえ50年超の歴史があり、幼稚園から小学校、中学、高校と短大/4年生大学へと続く女子の一貫教育は地元での知名度も高く、親子で同学院を卒業という母娘も多い(幼稚園/小学校は共学)。
少子化が続き、短期大学の人気が低くなる中、2000年初頭までは学生数を伸ばしていた。しかし、さらなる少子化の進行や共学志向の高まり等、時代の流れにはあらがえなかった。地元連携等の様々な施策も学生数増加には直接結びつかず閉校とせざるを得なかった。
この流れは、聖母女子短期大学に限らない。同じ京都府下であれば地元では名門と呼ばれる京都女子学園の京都女子大学短期大学部(2011年度から学生募集停止)、大阪府では相愛女子短期大学(2006年度から学生募集停止)、兵庫県では昨年、神戸夙川学院大学が2015年度から学生募集を停止した。
いろいろなタイプの賃貸収益物件があるが、なかでも学生向け賃貸は大きなジャンルのひとつ。ルームシェアやシェアハウスといった尖った印象の物件もあるがまだまだ少数派。王道は「学生マンション」「学生アパート」だ。大学や専門学校の近くには必ずと言っていいほど、「学生マンション」「学生アパート」が存在する。
しかしチャンスの裏にはピンチ有りである。学生向け賃貸物件の需要が多いエリアには、当然ながら同様の物件が多数存在する。周囲に多くの大学や専門学校があれば問題ないのだが、もしひとつの学校に頼ったマーケットになっているとしたら悲劇だ。複数の「学生マンション」「学生アパート」が同時に空室リスクにさらされ、ニーズが薄くつぶしのきかない物件がならぶエリアとなる。
学生向け賃貸物件に限らない。単身者向けアパート等も同じ勤務先の居住者が複数いるような物件は注意が必要だ。特定の学校や企業に属する居住者の割合が高い物件は、定期的にはその学校、企業の将来性をみておいた方がいい。閉校のようなネガティブな要素もあれば、都心回帰や広い場所への移転といった発展的移転もある。特定の顧客に儲けさせていただいている物件ほど、楽なようで心配も多いものである。
健美家編集部(協力:田中和彦)