街のネガティブイメージを払拭できるか?
「星野リゾート」の新ホテル建設計画
いわゆる日雇い労働者の街として知られ、大阪都心部の中でも一際ディープなエリアとして取り沙汰される、JRおよび南海新今宮駅周辺。
駅の北側にはその土地柄ゆえ、なかなか用途が決まらずに長年放置されてきた、大阪市の広大な私有地があった。
ここへホテルを建設すると名乗りを上げたのが、全国に高級リゾートホテルを展開する星野リゾート。同社がとうとう大阪に進出、しかも場所は「あの」新今宮とあって、計画発表のニュースは各方面に大きな衝撃を持って受け止められた。
ホテルは2019年6月に着工し、2021年11月に竣工、2022年4月に開業予定。名称は「星野リゾート OMO7 大阪新今宮」に決定した。約14,000平米の敷地を誇り、広々としたガーデンと、436の客室を備えた地上14階のホテル棟が建設される予定だ。
「OMO(オモ)」は、「星のや」「リゾナーレ」「界」に次ぐ、星野リゾート第4のブランド。「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」をコンセプトに、北海道、東京に続いて4軒目の開業となる。グループ内の他の施設よりもリーズナブルな価格設定で、大阪およびその周辺を観光する旅行客をターゲットに展開される。
大阪屈指の観光地や商業地域に隣接
実はポテンシャルの高い新今宮
街のイメージはさておき、計画地を俯瞰して見ると、立地は決して悪くない。まず徒歩10分程度の場所には、なにわのシンボル「通天閣」を中心とした、新世界エリアが広がる。
新世界に隣接するのは、緑豊かな公園や動物園がある天王寺エリアと、日本一高いビルである「あべのハルカス」をはじめ、大規模商業施設やホテルなどで賑わう阿倍野エリアだ。
天王寺・阿倍野エリアはここ数年で駅前の再開発が進み、観光客にも地元民にも親しまれる、美しく便利な街として発展している。
新今宮自体も、近年はゲストハウスや安価なホテルが立ち並び、海外からのバックパッカーで賑わうように。また、特にディープな新今宮駅前南側一帯のリノベーションを促進させる「Shin-Imamiya R Project」も進行中だ。染みついた地域イメージをなんとか向上しようと、各方面が奮闘している。
関西各地へダイレクトに繋がる
アクセスの良さも注目ポイント
一方、新今宮は各方面への電車でのアクセスが良好な点も注目。JR新今宮駅は、大阪中心部を一周する大阪環状線の一駅であり、奈良へ直通する大和路線の一駅でもある。隣の天王寺駅で阪和線に乗り換えれば、和歌山までもアクセス可能だ。
JR新今宮駅に併設する南海本線新今宮駅からは、関西国際空港まで直通。途中、高野線に乗り換えれば、世界遺産の高野山にもアクセスできる。
さらに、2023年春には、北梅田駅(仮称)とJR難波駅および南海本線新今宮駅を繋ぐ新路線「なにわ筋線」が開業予定。新大阪、大阪(梅田)、関西国際空港いずれへも便利にアクセスできるようになる。
また、新今宮駅から徒歩5分程の所にある動物園前駅は、大阪の大動脈である大阪メトロ御堂筋線の一駅。難波、心斎橋、梅田(大阪)、新大阪といった、繁華街や一大ターミナル駅へダイレクトに繋がる。
加えて、動物園前駅は大阪メトロ堺筋線の一駅でもある。こちらは阪急京都線に乗り入れていることで、京都の嵐山や祇園四条までアクセス可能となっている。
立地や交通アクセスの良さは申し分ないものの、街の雰囲気ゆえに敬遠されがちだった新今宮。そこに星野リゾートが進出することによって、周辺の雰囲気が一変し、イメージは好転するのか。今後さらに再開発が進み、街の価値が高まるのか、期待が寄せられる。
健美家編集部