奈良の主要都市、天理市に
新たな観光スポットが誕生
奈良県の北中部に位置する天理市は、東側は大和高原が広がる自然豊かなエリア、西側は新興住宅地などの開発が進んでいる奈良県の主要都市。
市の中心部にある天理駅にはJR桜井線と近鉄天理線が乗り入れ、大阪市内や京都駅までは電車で1時間程度とアクセスも良好。大阪や京都のベッドタウンとしても人気を集めている。
また、日本最古レベルの神社である石上神宮をはじめ、大和神社、オオヤマト古墳群など、いにしえの旧跡が現代に息づいているエリアとしても有名だ。そんな天理市に2022年春、新たな観光スポットが誕生する。
2022年春に完成が予定される
奈良の歴史・芸術・文化の拠点
天理駅から奈良交通バスに乗り継ぎ、「勾田」バス停から徒歩約15分ののどかな場所に開村される「なら歴史芸術文化村」。県の誇る歴史文化資源に触れ、質の高い文化芸術イベントを体験できる歴史・芸術・文化活動の拠点となる施設だ。
奈良の歴史・芸術・文化を「知る・学ぶ・楽しむ」ことを通じ、本物に触れることで新たな視点や感性が生まれる場を提供することをコンセプトとしている。
日本初となる文化財4分野(仏像等彫刻、絵画・書跡等、歴史的建造物、考古遺物)の修復作業現場の通年公開や国内外から招いたアーティストの制作活動の公開、未就学児を対象としたフリーアートプログラムなどが展開される予定だ。
また、国土交通省に重点「道の駅」として選定され、農産物直売所や産直レストラン、伝統工芸品ショップなど、観光・産業の分野と連携し、この施設を中心にさまざまな取り組みを広げていくことを見据えている。
敷地内に有名ホテルを誘致
“泊まれる道の駅”に
注目すべきポイントは、歴史・文化・芸術だけではない。敷地内に建設される宿泊施設、「フェアフィールド・バイ・マリオット」は世界最大級のホテルチェーンのマリオット・インターナショナルと積水ハウスがタッグを組み、2020年10月から全国展開がスタートしているホテルブランド。
2020年に奈良市に日本初進出した「JWマリオット」がラグジュアリーブランドなのに対し、「フェアフィールド・バイ・マリオット」はカジュアルブランド。
「道の駅に泊まって地域の魅力を味わう旅を通して地方創生事業を」というコンセプトを掲げる「Trip Base 道の駅プロジェクト」の一環として動き出した。
「なら歴史文化村」の西側に建設される「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理」は、シンプルな素泊まり型ホテル。5階建てで、客室数は100室程度が設けられる予定だ。
館内にはあえてレストランを設けず、道の駅内などで販売されている地元の名物や特産品、近郊の飲食店・小売店などを満喫してほしいという想いが込められているという。奈良県、天理市の新たな魅力を発見してもらうとともに、地域経済を活性化させる観光拠点としても大いに期待されている。
ホテル不足にピリオド?
奈良に“滞在する”観光客は増えるか
建造物の高さ制限や遺跡の出土などの理由からホテル建設が思うように進まず、ホテル不足が叫ばれてきた奈良県。
しかし、昨年奈良市で開業された「JWマリオット」に続き、再びマリオット・インターナショナルの誘致に成功したことは、県にとって大きなチャンスと言える。
これらを足掛かりに県内におけるホテル誘致が活性化され、近県の大阪や京都だけではなく、これまで通過されがちだった奈良にも“滞在する”観光客が増えていきそうな気配だ。
約2.9ヘクタールの敷地に奈良県、天理市の魅力が存分に詰まった「なら歴史文化村」。年間約55万人の来場を見込んでいるこの“泊まれる道の駅”は、さまざまな角度から奈良の新たな価値を見いだしてくれることだろう。
健美家編集部