
「藤原京」をモチーフとした
新キャンパスが誕生へ
現在、奈良県橿原市にある奈良県立医科大学の新キャンパス建設に伴い、奈良県立医大ならびに奈良県立医大附属病院を中核とする「橿原キャンパスタウン」構想が動き出している。
奈良県立医大は施設の老朽化・狭隘化を理由に、新キャンパスの建設を提言。現キャンパスから南西約1qに位置する奈良県農業研究開発センター跡地に、教育・研究部門が移転されることになる。特に老朽化が激しい教養教育部門と看護学科の施設などを2024年度までに整備しつつ、その後、総合研究棟や事務局棟、交流施設などを移行していくと見られる。

新キャンパスは、古都の医学教育の場にふさわしい姿であり、奈良・橿原への愛着を示すという意味を込めて、飛鳥時代に現橿原市に存在した「藤原京」をモチーフとしたデザインとゾーニング。橿原市の観光名所になりそうなほど、キャンパスとは思えない美しい建造物を想定している。
奈良県立医大付属病院前に
近鉄の新駅が設置されるか?
移転後の現キャンパスは奈良県立医大付属病院の施設の整備・充実を図ることで、地域に根差したまちづくりのエリアとして活用されていく模様。外来診療施設などで構成される病棟を新たに整備していくほか、車利用者の利便性を高めるべく、立体駐車場の新設も進めていくようだ。
また、奈良県立医大附属病院前に近畿日本鉄道(近鉄)橿原線の新駅を建設するという計画を、奈良県・橿原市・近鉄の三者で協議中。新駅建設予定地に近接する近鉄「八木西口」駅との併存は協議の末に事実上困難になったが、予定通り新駅が設置されることになれば、病院を訪れる人や奈良県立医大の学生にとっては大きなメリットとなるだろう。
文化財・住空間・医療が充実
魅力溢れる奈良のベッドタウンに

ちなみに、橿原市は奈良県のほぼ中心に位置。まちの規模としても総人口約12万人と、奈良市に次ぐ県下第2の都市だ。第一代神武天皇と皇后をお祀りする「橿原神宮」や日本最古の都城である「藤原宮跡」を筆頭に、遺跡や古墳、神社仏閣などの歴史的文化財が数多く残っている。
また、主に奈良と大阪をつなぐ近鉄やJRなどの鉄道が乗り入れるほか、関西最大級のショッピングモール「イオンモール橿原」をはじめとする商業施設も充実。住みやすさはもちろん、1LDK・2LDKの平均家賃も7万円弱、3LDKでも7.5万円程度と経済的負担も少なく、奈良と大阪のベッドタウンとして人気を集めている。
そんな橿原市に計画されている「橿原キャンパスタウン」のコンセプトは、「奈良県立医大との連携を活かした健康増進のまちづくり」と「新駅の利便性を活かした住宅を中心としたまちづくり」。奈良県立医大隣接、新駅設置が実現すれば、医療が充実したにぎわいのある健康長寿のまちとして、橿原市の魅力・価値がさらに向上していくだろう。
健美家編集部