建て替え後の建物は高さ規制を
上回る規模になる見通し
京都市は、日本郵便および京都駅ビル開発から、京都駅前にある京都中央郵便局の建て替え工事計画について届出があったことを受けたことを発表した。
京都駅ビル開発はJR西日本グループの企業で、京都駅ビルの管理運営を主たる業務としている。
建て替えの理由は、京都中央郵便局の建物が老朽化していることだ。
京都中央郵便局は1961年に完成しており、1983年に増築されている。最初の建物完成から既に60年以上が経過しており、老朽化が進んでいるという。
なお、開発計画の縦覧は12月9日までとされており、縦覧期間は既に終了した。
建て替え後の建物に関するパースなどは発表されていないが、地上11階〜14階・地下3階〜6階の規模で、高さは45m〜60mのいずれかとなるように構想されているという。
京都市では都市計画上の高度地区における高さ規制の限界が31mとなっており、高さが現時点での最低である45mとなっても、都市計画で定められた高さ規制を上回る規模になる。
高さ規制を上回る規模の建物を開発するためには、京都市の審議会における議論などを経て「都市再生特別地区」として認可されることが必要。
都市再生特別地区として認可されると高さ規制が60mまで引き上げられるため、地上14階建ての構想は考えられる最大の規模だ。
もし60mとなれば、京都駅の駅ビルとほぼ同じ高さであり、周辺では京都タワーを除いて最高規模の建物となる。

また、郵便局の西隣にある京都駅ビルの駐車場も計画敷地に含まれており、敷地面積は10,200uと広大だ。
建て替え後の建物にはオフィス・商業施設・ホテルなどが入る見通し。2021年時点における計画では、建物の完成は8年後となる予定。
高さが45mまたは60mのいずれの規模となっても、京都駅前におけるランドマーク的な複合施設になると思われる。
12月4日には地元住民向けの説明会が開催されており、参加者からは、大規模商業施設の建設に伴う渋滞悪化などを懸念する声も上がった。

日本郵便及び京都駅ビル開発は、施設の開発が地域の活性化に寄与すると捉えてもらえるよう、今後も丁寧に地元住民へ説明していきたいとコメントしている。
京都の観光客は
2020年に大幅減少
2020年はコロナの拡大によって日本人を含む多くの人の移動が制限された。
コロナは観光を最大の産業とする京都に大きな影響を与えており、観光客数の減少及び観光消費の落ち込みは深刻だ。
京都市の発表によると、2020年における観光宿泊客の実人数は531万人で、2019年と比較して約60%減少した。
外国人宿泊客は対前年比で約88%減少しており、インバウンドに関する影響は特に深刻となっている。

また、京都府の発表によると、京都府の中でも京都市以外における2020年の観光消費は約603億円で、対前年比で34%減少した。
一方でコロナの感染者数を見ると、2021年の秋以降は京都府内のコロナ感染者数も0人となる日が出てきており、10月中旬以降はほとんどの日で10人を下回っている。
新株となるオミクロン株の発見など懸念される点はあるものの、日本全体でコロナが下火となりつつある状況下では、京都の観光消費も今後の復活が期待されるところだ。
京都中央郵便局の建て替えにも、対外的な話題の提供とともに、地元住民の利便性向上などを期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)