武庫之荘駅と西宮北口駅の中間
武庫川にかかる橋に新駅を設置
阪急電鉄神戸線(阪急神戸線)は、大阪府大阪市北区の大阪梅田駅から兵庫県神戸市中央区の神戸三宮駅までを結ぶ鉄道路線。JR神戸線や阪神本線とともに、大阪-神戸間を走る重要な路線であり、阪急電鉄にとっても宝塚本線・京都本線と並ぶ基幹路線のひとつだ。
そんな同線の武庫之荘(兵庫県尼崎市)と西宮北口(同県西宮市)の駅間で、かねてから設置が検討されてきた「武庫川新駅」(仮称)について、阪急電鉄、尼崎市、西宮市の三者による基本合意が結ばれた。遅くとも10年以内に新駅が誕生するという。
武庫之荘駅と西宮北口駅の駅間には武庫川が流れているとはいえ、その距離は約3.3㎞と阪急神戸線のなかでも、もっとも長い。
その中間にあたる武庫川周辺における新駅の設置については、昭和初期から議論されてきた。これを受け、2013年には阪急電鉄、兵庫県、尼崎市、西宮市の四者による「武庫川周辺阪急新駅に関する検討会」が発足し、2021年9月には事業化に向けた取り組みで合意。昨年11月に新駅設置にかかる基本合意書の署名式が行われ、事業が本格的に始まった。
新駅は武庫之荘駅から約1.6㎞、西宮北口駅から約1.7㎞、武庫川にかかる橋上に設置される予定。駅に使用される武庫川橋梁は2004年にかけ替えられたものだが、上下線の橋脚には新駅を想定し、ホームを架ける空間があらかじめ設けられている。
これを活用し上下線の橋梁間に2面2線のホーム、両岸に計2か所の改札口、可動式ホーム柵、エレベーター、エスカレーターなどの設備を整備。事業費は駅舎・駐輪場を含めて約55億円、周辺道路整備に約5億円を見込んでいる。
「武庫川周辺阪急新駅に関する検討会」の報告によると、新駅を設置することで人口は尼崎市が871人、西宮市が915人(2010年の国勢調査を基準人口とし2025年を推計)、税収も尼崎市が年間約1億2200万円、西宮市は年間2億円も増加。大きな効果が期待される。
新駅ができることによって、周辺の再開発にも拍車がかかるだろう。尼崎市、西宮市ともに新駅の周辺は住宅街であることから、歩行者と自転車を優先したアクセスが基本となり、歩道や駐輪場の整備が行われ、駅前には商業施設も整備されるかもしれない。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、直近3年間における賃貸マンションの賃料は武庫之荘駅が3.89%、西宮北口駅が3.70%上昇している。
新駅の設置により、両駅を含めた一帯の付加価値は、さらに高まるかもしれない。新駅の設置は遅くとも10年以内とされているが、早期の実現が待たれる。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))