JR・神戸市営地下鉄「新長田駅」南地区の
再開発に伴い14階建ての複合施設が誕生
兵庫県南東部に位置し、同県の県庁所在地及び最大の都市である、神戸市。人口は約150万人で、大阪市や京都市とともに、京阪神大都市圏における中心都市のひとつに数えられる。

そんな同市のなかで、1965年に策定された「神戸市総合基本計画」において西部副都心として位置づけられ、住環境などの整備を進めてきたのが、長田区にある新長田駅周辺のエリアだ。
同駅にはJR西日本、神戸市営地下鉄が乗り入れ、いまでは区内でもっとも多い乗降客数を誇るほどの規模。1995年に発生した阪神淡路大震災により甚大な被害を受けたが、その後は市街地の復興と防災公園などを中心とした防災拠点の構築、良質な住宅の供給、地域活性化や都心拠点にふさわしい都市機能の整備が進められてきた。
なかでも駅南地区の再開発は活発で、これまでに防災拠点を兼ねた若松公園の整備、小売店舗やスポーツ施設、大規模小売店舗、医療・福祉施設の誘致、道路の拡張整備と歩行者ネットワークの形成などを実施。
今年2月7日には、同地区における最後の未着工区で「新長田キャンパスプラザ(仮称):兵庫県立総合衛生学院」の起工式が執り行われている。
今年3月には、ミサワホーム、京阪電鉄不動産、特定医療法人一輝会による複合施設「ASMACI(アスマチ)神戸新長田」が完成し、竣工記念式典が開催された。
同物件は新長田駅から徒歩5分に位置する14階建ての施設で、1階から5階には「荻原整形外科病院」と「荻原みさき病院」が移転統合した「荻原記念病院」を整備。回復期リハビリテーション・地域包括ケア・医療療養の142床を備えている。

出所:プレスリリース
1階・6階から14階は全80戸の分譲マンション「ファインレジデンス神戸新長田」で、1階にはエントランス、6階にはコワーキングスペースのあるオーナーラウンジを設けている。
インターフォンで健康維持・増進に関する情報を発信したり、小児科・産婦人科・婦人科に特化した24時間対応のインライン医療相談、運動による健康づくりを支えるエクササイズサポートなど、あらゆる世代が健康に過ごすことができるサービスが評価され、竣工前に全戸が完売したという。

出所:プレスリリース
同事業に関わったミサワホームは、医療・介護・子育て支援を中心に社会的課題の解決に向けた複合開発や地域の高齢化に対応するコンパクトシティ型の不動産開発を積極的に推進。
これまでも小児科や調剤薬局一体コンビニ、地域包括支援センター、認可保育園などと一体化した「ASMACI浦安」(千葉県浦安市)、公立保育園を核とした子育て関連公共施設を集約・再整備した「ASMACI藤沢」(神奈川県藤沢市)などを整備してきた。今回のプロジェクトも、その一環となる。
これらに限らず、近年は高齢化社会の進展、共働き世帯の増加などを背景に、医療・介護・福祉と住環境の近接化が始まっている。
医療モールや病院が入居・J併設された大規模商業施設やマンションは珍しくなく、付加価値の高さも評価されている。再開発を機に、こういった形のコラボレーションはますます増えていくのではないだろうか。
ちなみに、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、新長田駅周辺にある賃貸マンションの賃料は直近3年間で6.29%上昇している。
これは兵庫県全体の変動率4.78%に比べて高い。駅南側における一連の再開発が、地域の価値をさらに押し上げるかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))