天神から大牟田市へ抜ける鉄道路線で
高架化の工事が着々と進行中
九州の玄関口であり、最大の都市として知られる福岡県。近年は地理的な面から、アジア諸国とのゲートウェイの役割も担うようになり、その存在感は高まるばかりだ。そんな同県では福岡市を中心に都市の再開発や鉄道の延伸といった事業が各地で進められている。

そのひとつが、西鉄天神大牟田線の高架化だ。西鉄こと西日本鉄道は国内大手私鉄のひとつで、福岡県を基盤に鉄道や路線バスを運営している。JRと並び県民にとってなくてはならない交通機関だ。
西鉄天神大牟田線は、福岡市中心街の西鉄福岡駅(天神)から大牟田市の大牟田駅までを結ぶ路線で、路線総延長は74.8q。
九州最大の繁華街である天神を起点に、春日市・大野城市・太宰府市・筑紫野市・久留米市・みやま市・大牟田市と、県内を南北に走る大動脈で、西鉄のなかでも利用客は多いドル箱路線だ。沿線には規模の大きな都市や観光地もあり、福岡市への通勤・通学路線としてだけではなく、太宰府天満宮や九州国立博物館、グリーンランドなどへ向かう観光路線としても使われている。
そんな同線では、福岡県と福岡市が主体となり鉄道施設を高架化する「西鉄天神大牟田線連続立体交差事業」が進行中だ。
当初は2020年度の切り替えを目指していたが、19年6月に工事区間の春日原駅旧駅舎ホームに謎のコンクリート基盤が埋まっていることが発覚し、撤去に約9カ月の追加期間を要したことから、22年度にずれ込んでいる。
同事業は県が春日原駅〜下大利駅間の約3.3q、市が雑餉隈駅周辺の約1.86kmの各区間の事業主体となり、沿線の踏切渋滞の解消を目的に合計900億円超を投じて鉄道路線を高架化。約5.2qにわたり設置された19か所の踏切を除去することで、道路交通の円滑化、踏切警報音がなくなるなど、沿線地域の環境改善などが期待されている。

出所:福岡県ホームページ
想定外のトラブルで切り替えは延期されたものの、工事自体は佳境を迎えている。路線の高架はほぼ完成していて、いまはその下を鉄道が運行している。雑餉隈駅では新しい駅舎がそろそろ完成しそうだ。


福岡県筑紫地域にある2つの市
福岡市のベッドタウンとして発展
路線の高架化で期待できるのは環境の改善だけではない。効果空間の一部は駐車場など公共・公益施設が整備され、駅前広場事業との一体的な実施により、駅周辺の乗り換えの利便性や快適性だって向上する。沿線住民にとってプラスに働く要素は多い。
沿線の自治体にも注目しよう。春日原駅のある春日市は、県中西部の筑紫地域に位置する。福岡市の南東に隣接し福岡都市圏の一角を成していて、天神までは10qほどの距離。福岡市の発展に伴いベッドタウンとして都市化が進んでいて、1990年に9万人弱だった人口は2000年になると10万人、21年3月末時点では11万人を超えている。
人口増の影響は住宅市場に現れていて、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、春日市の標準的な中古マンション価格は直近3年間で10.27%、賃貸マンションの家賃も同期間で5.23%も上昇している。
福岡市と春日市に隣接し、市役所同士の距離は1q弱という大野城市も同様だ。下大利駅から西鉄福岡(天神)までは急行で約15分、JR鹿児島本線の大野城駅から博多駅までは快速で約10分とアクセスは抜群。
福岡市のベッドタウンであり、5年前は10万人を切っていた人口が、いまでは10万人を突破。新旧の住宅街が広がる街で、2017年には「シティブランド・ランキング ―住みよい街2017−」で、守谷市・武蔵野市とともに同率1位に選ばれたこともある。

前出の「住まいインデックス」によると、大野城市も直近3年間で標準的な中古マンション価格は6.99%、賃貸マンションの家賃は5.85%上がっている。
このように、人口が増えていてさらなる発展が期待できる両市を走る鉄道が高架化することの意味は深い。地域の利便性が高まれば、転居や定住のサイクルがさらに回り始めるだろう。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)
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