九州州最大の繁華街で交通の要所
「天神交差点」を中心にまちが大きく様変わり!
九州一の繁華街と知られる「天神」(福岡市中央区)。官民複合施設のアクロス福岡、地場系百貨店の岩田屋や福岡三越、ベスト電器の総本店、天神地下街などがあるショッピングエリアであり、トレンドスポットもたくさん。昼夜を問わず幅広い世代の人が集まる場所だ。
福岡空港や博多駅~天神から郊外に抜ける地下鉄空港線が乗り入れ、七隈線の天神南や西鉄天神大牟田線の西鉄福岡(天神)、西鉄天神バスセンターが集積することから、交通の要所としても知られる。近隣・郊外の住宅地から天神のオフィスに通ったり、ショッピングやグルメも楽しみにやってくる人は多い。
そんな天神エリアでは現在、官民による大規模再開発プロジェクトの「天神ビッグバン」が進行中だ。
これは、アジアの拠点都市としての役割・機能を高め、新たな空間と雇用の創出が目的のプロジェクト。国家戦略特区による「航空法高さ制限の特例承認」や福岡市独自の容積率緩和制度などを組み合わせ、民間の活力により耐震性の高い先進的なビルへの建て替えを促すとともに、快適でぬくもりのある公共空間を提供するなど、質の高いまちづくりに取り組んでいる。
対象となるのは天神交差点から半径約500mのエリアで、これまでに47棟の建築確認申請があり、そのうち35棟が建て替えを終えている(2015年2月~20年5月)。
現在も複数のプロジェクトが並行して進んでいるが、タイムスケジュールが見えているのは、以下の3プロジェクトだ。
2021年9月:天神ビジネスセンター完成予定
2022年12月:旧大名小学校跡地活用事業完成予定
2024年3月:天神一丁目11番街区開発プロジェクト完成予定
天神ビジネスセンターは、低層階に商業施設、高層階にオフィスが入居する大型複合施設。今年9月に完成予定だけあり、建物の外観はほぼできあがっている。ガラスの覆われた特徴的なビルだ。当初は地上16階建て(高さ76m)を計画していたが、国家戦略特区の指定を受けたことで、国が航空法による高さ制限を緩和することに。フロアは19階建て(高さ89m)に見直され、その結果、3万3000㎡という天神地区最大級のオフィスフロアが誕生するという。
旧大名小学校跡地活用事業では、日本で7番目となる「ザ・リッツカールトン福岡」が開業予定だ。ホテルは全162施設のゲストルーム、6つのレストラン・バーを提供。ボールルームや会議質も用意する。
他にも、オフィス、店舗、住宅、公民館なども入る予定で、旧大名小学校南校舎のスタートアップ支援施設と連携し企業の創業や成長、人材育成も促す。
天神一丁目11番街区開発プロジェクトでは、福ビルの跡地に商業、オフィス、ホテル、カンファレンスなどが入る、幅約100m、奥行約80m、高さ約96mの複合施設が建つ。大型のテナントやグローバル企業の入居が想定され、5、6階には天神交差点を一望する九州最大のオフィスロビーも計画している。
エリアの価値が向上することで地価も上昇
近隣だけではなく周辺の住まいにも影響するか?
大規模なプロジェクトが一気に進んでいる天神エリア。より魅力的なエリアになっていくだろう。こうした開発は地価にも影響しているようで、今年3月時点の天神/西鉄福岡(天神)の公示地価平均は約332万円、坪単価は約1066万円と、前年比+4%超の上昇を記録した。全国的に下落傾向するなか、天神はその逆を行っている。
まちの成長は人口増にも拍車をかけていて、福岡市の人口は13年に150万人だったのが、20年5月には160万人を突破。政令市のなかではトップクラスの人口増加を続けていて、国全体の人口が減少に転じたにも関わらず、35年にはピークの167万人に達する見通しだ。
これに伴い賃貸相場も右肩上がりを続けていて、中央区であれば標準的な賃貸マンションの賃料は直近3年間で6.21%上昇している(LIFULL HOME’S「住まいインデックス」より)。周辺エリアも同様で、まちの開発が雇用や住まいなど、生活全般に波及しそうな勢いだ。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)