当初から2年先送りで開業することに
天神南で乗り換えなしで博多駅へ!
博多駅周辺では「博多コネクティッド」、天神地区では「天神ビッグバン」と、大規模再開発が進められている福岡市の中心部。九州だけではなくアジアのゲートウェイとして更なる発展が期待されている、日本屈指の成長エリアといって差し支えない。

鉄道にも大きな変化が起きそうで、それが福岡市営地下鉄・七隈線の延伸事業だ。現在、天神南〜博多間の約1.6qの工事が進められているが、途中に設けられる駅名がこの度、「櫛田神社前」に決定することに。空港線やJR線と連絡する終点の名称はそのまま「博多」となった。

出所:福岡市地下鉄
櫛田神社は「お櫛田さん」の愛称で親しまれていて、毎年奉納される「博多祇園山笠」は、ユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、市民だけではなく観光客も多く訪れる場所だ。利用者の利便性向上、ひいては地下鉄の利用促進が期待できるとして、駅名に採用したという。
七隈線の延伸は市民の生活にも多大な恩恵を与えるに違いない。そもそも同線は軌道系の交通機関がなかった福岡市西南部と都心部を結ぶ路線として計画され、2005年に開業。
沿線には中村学園大学、福岡大学など大きな大学があり、通勤・通学路線として利用客が多い。ただし、博多駅や福岡空港へアクセスするには天神南から一度改札を出て天神地下街を抜け、地下鉄空港線の乗り継がないといけない。
徒歩で10分弱はかかるので、正直なところ面倒だ。ところが延伸区間が開業すると博多までダイレクトに行くことができ、空港線への乗り継ぎはもっとスムーズになる。これにより、七隈線沿線の住宅需要も大きく変わる可能性があるだろう。

同線の延伸は2013年から工事が始まり、当初は2020年度の開業を目指していたが、14年10月と16年11月に道路陥没事故が発生した影響を受け、17年12月には開業を2年先送りするとされていた。その後は目立ったトラブルはなく、あとは完成を待つばかりだ。
延伸を機に「3000A系」と呼ばれる新型車両も投入される。外観は西南部地域の山々の稜線をイメージしたグリーンと青空をいねーじしたスカイブルーを取り入れたデザインで、吊り手や手すり、扉、座席など乗客が振れる可能性があるところには、抗菌・抗ウイルスコーティングをほどこす。

出所:福岡市地下鉄
七隈線の延伸の終点となる
博多駅周辺でも大規模再開発
七隈線の延伸により市中心部へのアクセスビリティは良くなり、ますます利便性の高まる福岡市。延伸区間の終点である博多駅周辺では、先に挙げた西日本シティ銀行本店の建て替えだけではなく、遡ること2016年には「博多マルイ」などが入る「KITTE博多」が、18年にはバスターミナルやサウナ、カプセルホテル、カフェレストランなどが入る「HEARTSバスステーション博多」が開業している。
今年にはバスターミナルの隣に「博多深見パークビル」が竣工したことにより、駅北側にある博多バスターミナルから博多駅JR博多シティ〜KITTE博多〜JRJP博多ビル〜博多深見パークビル〜HEARTSバスステーション博多までが2階レベルの屋根付きペデストリアンデッキですべて往来可能になった。

博多深見パークビルは、福岡市内における三菱地所初のオフィスビル開発ということで話題になったビル開発。ヤフー株式会社の入居が決まっていて、すでにオープンした福岡六本松で人気のベーカリー「amam dacotan(アマムダコタン)」の姉妹店「DACOMECCA(ダコメッカ)」は、瞬く間に注目のスポットになった。今後も多彩な飲食店舗も続々とオープンするという。
七隈線の延伸区間が開業すればさらに人が集まるようになり、博多駅前はますます活性化していくだろう。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)