1度撤退した後の
再進出が決定
熊本パルコはもともと1986年から営業を続けていたが、賃貸していたビルの老朽化などを理由に、2020年2月末をもって一旦撤退していた。
しかし、もともとテナントとして入っていたビルの建て替えが決定した結果、新たなビルに入居することが決まった。
建て替え後の新たなビルは(仮称)下通GATEプロジェクトビルとなっており、開業予定は2023年春だ。
ビル全体の規模は地下1階・地上11階となっており、パルコが入るのは地下1階〜地上2階となる予定。
そのほか、地上3階〜11階には星野リゾートが展開するホテルが入居する。
パルコは札幌から福岡まで日本各地で店舗展開しているショッピングセンターだ。
東京都内では渋谷や吉祥寺など若者の集まる街にも展開されており、特に渋谷店はパルコの本社もあることからランドマーク的な存在となっている。
このため、都内に住む人にとっては特に、パルコは若者向けのショッピングセンターというイメージが強いかもしれない。
しかし、パルコのホームページでは「マーケットに合わせた店舗づくりをする」とされているため、周辺エリアで最も集められる客層に向けた店舗づくりが進められる見込みだ。
繁華街は熊本駅からは
少し離れている
今回リニューアルされる熊本店の予定地は、熊本市電の通町筋駅(とおりちょうすじえき)からすぐの場所に位置している。

下通(しもとおり)商店街の入口に面しており、市の観光サイトからは人通りがかなり多い様子が伺える。
※参照:熊本市観光ガイド
イメージとしては、仙台駅前のアーケード商店街にも近いと言える。
通町筋駅は市電の「熊本駅前」駅から8駅20分と少し離れた場所にある。
しかし、JR熊本駅前はビジネス街の色合いが強く、買物等の利便性が高いとは言えない。

熊本の繁華街は熊本駅の北東または熊本城の東側に位置しているエリアで、電車通りを挟んで約870mのアーケード街が続いている。
アーケード街の周辺は熊本で最も人が集まるエリアと言っても差し支えないだろう。
商店街の周辺では
複数の大学がキャンパスを展開
リニューアルされるパルコはアーケード商店街の真ん中に立地することとなるが、アーケード商店街の周辺で注目に値するポイントはもう1つある。
商店街から見て白川を挟んだ反対側では、複数の大学がキャンパスを展開している点だ。
商店街の南東側には国立熊本大学医学部などのキャンパスがあり、その北側には尚絅(しょうけい)大学および私立熊本学園大学もキャンパスを設けている。
そのほか、アーケード商店街から少し離れた北側ではルーテル学院大学という大学もあるなど、周辺には高校や大学がかなり多くなっている。
特に国立熊本大学は広範囲にキャンパスを展開しており、大学のホームページによると、2021年5月時点の学生数は約7,600人だ。
私立熊本学園大学に関しても、学生数が5,000人以上に達していることから、商店街周辺の大学には1万人以上の学生が在籍していることになる。
白川の東側に隣接する熊本市中央区の人口を見ると、2021年8月時点で最も多いのは40代の人口だ。

※参照:熊本市
しかし、40代の人口が約25,000人いるのに対して20代の人口も21,000人を超えており、若年層の入居を狙った投資も十分に狙える。
大学が近いほかにも、熊本駅周辺はビジネス街ともいえる状況になっていることは明るい材料だ。
中央区から熊本駅前までは産業道路でつながっており、それほど遠くない。
周辺では学生に加えて社会人若年層の入居を狙った投資も成立するだろう。
熊本は例えば福岡などと比較すると地価も安くなっていることから、九州での投資先を探すのならば、熊本の繁華街周辺もおすすめだ。
取材・文:秦 創平