北九州市に西日本最大規模の商業施設
ショッピングや遊び・学びに対応
福岡県北九州市八幡東区のスペースワールド跡地でゴールデンウイーク直前の4月28日に、イオンモールによる新業態「THE OUTLETS KITAKYUSHU(ジ・アウトレット北九州)」が開業する。
北九州市は九州地方最北端、関門海峡に面したエリア。1963年に小倉市、若松市、八幡市、戸畑市の対等合併を経て誕生した。北九州工業地帯の中核を担う都市であり、1979年に福岡市に抜かれるまでは九州地方最大の人口規模を誇っていたという。
当時は108万人を超えていたが、2004年に100万人を割り込み、直近だと約92万人が暮らしている。
ただし、同市に本社・本店を置く企業はいまだ多く、九州工業大学や九州歯科大学など、教育機関もたくさん。鉄道・空路ともに充実していて、門司港をはじめ観光スポットも多い。その一つが、1990年から2018年にかけて営業していた宇宙のテーマパーク「スペースワールド」だ。
「スペースワールド」は紆余曲折を経たテーマパークだった。開園後数年間は来場者に恵まれ、1997年度には216万人のピークを迎えるが、以降は減少して2004年3月期には351億円の累積損益を抱えることに。
その後、当初の新日本製鐵からリゾート運営会社の加森観光に営業権は移り、施設のリニューアル、リストラなどを強化した結果、08年には11年ぶりに来場者が増加に転じ、12年には164万人まで回復、16年3月期には過去最高益を達成している。
ところが、少子化や北九州市の人口減少、長崎県佐世保市の「ハウステンボス」との競合による疲弊などが続き、運営企業は16年12月に、翌年末をもって同所を閉園するとした。
その後だが、施設跡地の利用について、地主の新日鐵住金はイオンモールに優先交渉権を与えていて、2018年2月に同社は新業態の商業施設を21年にオープンすると公表していた。
それが冒頭で述べた「ジ・アウトレット北九州」だ。なお、「ジ・アウトレット」自体は広島市の「THE・OUTLETS HIROSHIMA(ジ・アウトレット広島)」に次いで国内2店舗目。
イオンモールは同業態を「地域創生型商業施設」と呼び、アウトレットモールだけではなく、エンターテインメントや地元飲食・地場産品・土産物を持つ大型の駅ゾーンを掛け合わせた商業施設を目指している。
「ジ・アウトレット北九州」は敷地面積・約27万㎡、延べ床面積約5万7000㎡の施設で、ファッションやグルメなど約170店舗が出店。開業1年で来場者800万人を目指すという。
特徴的なのは、北九州科学館による科学を楽しむ「スペースLABO」、海外の雰囲気のなかで英語を体験・学ぶ「KITAKYUSHU GLOBAL GATEWAY」など、「学び」をテーマにした施設があること。
グルメもグローバルチェーンだけではなく、門司港発祥の焼きカレーの人気店や福岡で人気のうどん店、宮崎で有名な辛麺店など、地域密着の店舗がいくつか見られる。近隣だけではなく、遠方からの来場者も楽しめる施設になりそうで、同施設が地域観光の起点になる可能性もある。「地域創生型商業施設」の意味は、そこにあるのかもしれない。
施設周辺には世界遺産に登録されている官営八幡製鉄所関連の建築物などもあり、観光地としての知名度は高い。また、隣接する「イオンモール八幡東」と「スペースワールド駅」とは連絡ブリッジで接続される。
「イオンモール八幡東」は同所の開業を見越しリニューアルをしていて、2つの施設を合わせた敷地面積は約33万㎡、延べ床面積約14万㎡、総賃貸面積約9万6500㎡となり、これは西日本最大級の規模。全国的に見ても、「イオンレイクタウン越谷」(埼玉県)、や「イオンモール幕張新都心」(千葉県)の次いで3番目に大きい。
これだけ大規模な施設ができると、雇用や賃貸ニーズなど、周りに与える影響は甚大だ。今回のオープンをきっかけに、エリアは変わっていくかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))