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熊本・道路ネットワーク整備で経済効果は年間1,500億円。熊本と九州各地や本州をつなぐ広域道路計画が進行中

都市計画・再開発(地域情報)/福岡/九州・沖縄 ニュース

2022/05/08 配信

熊本駅
熊本県内のJR利用者数は年々増加している傾向にある。一方で、熊本県民の主な足となっているのは車だ。

観光と県内産業の振興に
寄与する道路計画

熊本県と熊本市は「熊本県新広域道路交通計画」を策定しており、複数の道路交通ネットワークの形成を検討している。

構想は時間ごとに異なる3つに分かれており、それぞれ「150分構想」「90分構想」「10分・20分構想」と名付けられている。

時間ごとにアクセスできる範囲が設定されており、150分構想は熊本から九州各県の主要都市までを150分で行き来できるようにするというものだ。

これには2つの大きな狙いがある。1つ目は「熊本を含めた九州の観光地を周遊できるようにする」というもので、2つ目は「農業を含む産業を支援する環境を整える」というものだ。

1つ目の狙いについては、主に九州各県の主要都市となる福岡市・佐賀市・長崎市・大分市・宮崎市・鹿児島市へのアクセスを改善することが目標とされている。

熊本県の観光名所というと、熊本城・阿蘇山などが挙げられる。

そのほか、万田坑(まんだこう:熊本県北西部にある炭鉱跡地)・三角西港(みすみにしこう:国の特別輸出港に指定された明治時代の港)・天草の崎津集落(さきつしゅうらく:キリシタン関連遺産)が世界遺産に登録されるなど、熊本県の観光資源は豊富だ。

こうした背景もあって、熊本県内の宿泊客数は増加しており、熊本市内と阿蘇では特にインバウンド需要も高まっている。

熊本県内における宿泊客数の増加傾向
外国人を含め、熊本県内における宿泊客数の増加傾向は強い。

※引用:熊本県

熊本県内を含む九州の交通ネットワークを整備することで、九州全体の観光産業を振興していくのが1つ目の大きな狙いとなっている。

2つ目の狙いについては、本州へのアクセスを含む輸送効率の改善を図ることで、産業効率の向上に寄与するというものだ。

熊本県の県内総生産額を産業別に分別すると、最も大きな割合を占めているのは製造業で、2番手に保健衛生・社会事業、3番手に卸売・小売業と続いていく。

特に半導体・自動車・食品バイオ関連の製造品出荷額は2013年以降おおむね右肩上がりで推移している。

熊本県の製造業
知名度はそれほど高くないかもしれないが、熊本県内には半導体や自動車関連の企業が多い。

※引用:熊本県

熊本県としては、県内の経済を活性化するためにも、今後も製造業の拡大を維持していきたいところだ。

また、熊本県の農業産出額は、九州の中では鹿児島県と宮崎県に次いで大きく、福岡県など他の4県とは大きな差がついている。

なお、農業算出品の出荷先は7割〜8割が本州であり、産出品のほぼすべてがトラックで輸送されている状況だ。

農産物の輸送手段
道路ネットワークの整備は、農業の振興には特に影響が大きい。

※引用:熊本県

観光・産業振興の目標において、県内の交通アクセス改善を特に意図しているのが「10分・20分構想」だ。

「10分・20分構想」では、熊本の市街地から空・海・陸の交通拠点を10分〜20分で結ぶことが意図されている。

これまでに九州中央自動車道・南九州西回り自動車道・熊本天草幹線道路などが整備されており、行政としては今後も道路整備を進めていきたい考えだ。

一方で、熊本都市圏では渋滞の解消が特に解決すべき課題とされている。

熊本県の渋滞
熊本都市圏は渋滞箇所が特に多い。

※引用:熊本県

熊本県は九州7県の中でも主要渋滞箇所が最多であり、空港などへのアクセスに時間がかかることから、観光客の市内滞在時間が短くなってしまっている。

滞在時間の短期化は経済的な損失を発生させているため、渋滞の解消は観光消費の改善につながる可能性が高い。

なお、熊本県と熊本市は「10分・20分構想」が実現した場合の経済効果を試算しており、年間の経済波及効果は年間1,500億円規模と推定した。

日常消費・観光消費の活性化と物流の効率化などが主な要因となっている。

経済効果試算を実現するために、行政は熊本都市圏北連絡道路・同南連絡道路・熊本空港連絡道路の3路線を新たなターゲットとしている。整備計画の概略設計が今年度中に始まる予定だ。

公共工事による経済活性化に伴い、今後熊本県が地方都市の中で投資先の選択肢となり得るか要注目だ。

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取材・文:秦創平(はたそうへい)

https://writing-portfolio.com/

■ 主な経歴

フリーランスライター。
不動産業界歴約12年を経て2019年からフリーランスのwebライターとして活動を開始。営業マン時代にはセミナー講師の経験も多数あり。
国内・海外を問わず不動産投資に関する記事が専門で、現在では毎月数十本単位の記事を執筆中。特にデータを用いた市場分析が得意で、海外マーケットに関するリサーチ記事の執筆も多数請け負っている。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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