不動産投資先として国内外から熱い視線が注がれている福岡市。その福岡の行政・商業の中心地である天神エリアで、福岡市が主導する規制緩和(最大50%の容積率緩和)による再開発プロジェクト「天神ビッグバン」が、着実に進行している。あちこちで建物の解体、建築が進む天神から、最新状況をリポートする。
九州初のリッツカールトンが入居する福岡大名ガーデンシティ、
12月に竣工予定
今年12月には、天神交差点から半径約500mのエリアで進む天神ビッグバンの目玉プロジェクトの一つとされる「福岡大名ガーデンシティ」(福岡市中央区大名2)がいよいよ竣工する。
福岡市地下鉄・天神駅から徒歩5分。天神ビッグバンの最も西側に位置する旧大名小学校跡地約11900㎡の敷地で建築が進むのは、地上25階建て(高さ111m)、延床面積約90400㎡のホテル、オフィス、商業、レジデンスの大型複合ビル。高層階には、九州初進出の「ザ・リッツ・カールトン ホテル」が入居し来春開業予定だ。
広場を挟んで南側には、旧大名小学校の校舎をあえて残して活用した官民共働型のスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」を配置。「グローバル(世界)展開をローカル(福岡)から創出するための人材育成拠点」(同サイト)としている。
天神ビッグバンで一番高い高層ビルに生まれ変わる
住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター
ガーデンシティの建築現場から天神を東西に横断している目貫通りの明治通りを天神駅方面に数分歩いた福岡市中央区天神2丁目には、今年6月に天神ビッグバンボーナスの適用を受けたばかりの「(仮称)住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター建替計画」の計画地がある。
こちらでは、1978年に竣工した地上12階・地下2階建の「天神西通りビジネスセンター」と、 1969年に竣工した地上9階・地下2階建の「住友生命福岡ビル」の2棟の解体工事が進んでいる。跡地には、地上24階、地下2階(高さ約113m)、延べ面積約42,000㎡の店舗付きオフィスビルが2025年5月竣工予定となっている。完成すれば、天神ビッグバン計画で一番高い高層ビルとなる。
天神の玄関口にはヒューリックが19階建てビルに着工
ゲートホテルが開業予定
さらに数ブロック東側、天神駅目の前では、「(仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画」が8月に着工したばかり。2024年12月に、地上19階、地下3階(高さ92m)、ホテル、オフィス、商業等の複合ビルとして生まれ変わる予定。高層階のホテルは、同社が展開する高級路線の宿泊主体型直営ホテルブランド「THE GATE HOTEL(ザ・ゲートホテル)」となる見通しだ。
天神交差点では圧倒的なスケール感を誇る
福ビル街区建替プロジェクトが進行中
ビジネス街の明治通りと、ショッピング街の渡辺通りが交差する天神交差点では、福ビル街区建替プロジェクトが進行中。
幅約100m、奥行約80m、高さ約97mの圧倒的な規模を活かし、オフィス、商業、ホテル等が入居する総合複合ビルが2024年に竣工予定だ。1961年の完成以来、60年近くにわたって天神のシンボルとして親しまれていた福ビルが、天神コア、天神ビブレの3棟を一つにした巨大ビルへと生まれ変わる。
2015年2月、国家戦略特区による施策や福岡市独自の施策などを1つのパッケージにして、新たな空間と雇用を創出するプロジェクトとして始動した「天神ビッグバン」。2025年までの10年間の投資効果は約2,900億円、建て替え後の経済活動波及効果は約8,500億円にも上ると想定されている。
あちこちから工事音が轟く天神の街を歩きながら、アジアの拠点都市としての福岡のポテンシャルを感じた。
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健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))