福岡県を南北に走る西鉄のドル箱路線
一部区間が高架化し今年度中に新駅開業
数々の百貨店やショッピングモール、飲食店が建ち並ぶ、福岡市中央区の天神。九州最大の繁華街であり、福岡市役所などの官公庁、金融機関、商社、報道機関なども集積する市内でも要のエリアとして知られる。近隣にはいくつもの鉄道路線が走り、そのひとつが西日本鉄道(西鉄)の天神大牟田線だ。

天神大牟田線は、西鉄福岡(天神)駅から大牟田駅までを結ぶ路線で、西鉄におけるドル箱路線。通勤・通学路線としての利用が目立ち、沿線には太宰府天満宮や九州国立博物館などの観光地もあることから、週末には観光路線としてもにぎわう。
そんな同線では2003年から、踏切による交通渋滞の緩和などを目的に、雑餉隈駅から下大利駅の間で高架化事業を実施。昨年8月に工事が完了し、19か所の踏切が撤去された。また、高架化に伴いダイヤ改正も行われ、当該区間を運行する電車の運行時間は最大2分も短縮したという。
雑餉隈駅(福岡市博多区)と春日原駅(春日市)の間には、2023年度後半に新駅「桜並木」も開業することが決まっている。駅名は一般公募され、3388名の応募のなかから福岡市や地元代表者との意見交換を経て決まった。
新駅の南側には、長年にわたり地域住民が手入れを行ってきた桜並木があり、新駅の名称には、まちのシンボルとして末永く愛される駅になってほしいとの願いが込められている。

出所:プレスリリース
新駅舎には、新駅ができることで新しい生活、賑わいが創出されることに期待を込め、始まりを想起させる色である白色をイメージカラーに、新しい文化、生活が植物のように芽吹き、育まれるようにという思いを込めて緑色とし、その中でも明るく新鮮な雰囲気を与えられる若草色をアクセントカラーに選定。これらを用いた外装デザインとした。駅構造は2面2線、改札口は2か所設けられる。

出所:プレスリリース
高架化により地域の環境は良くなり、新駅の開業で駅周辺を中心に最開発も進むだろう。雑餉隈駅〜春日原駅周辺は、福岡市中心部に近いことからもともと人気の住宅エリアだが、ますます発展していくに違いない。
踏切がなくなると交通渋滞が緩和されるばかりか、踏切音も気にならなくなるので、住宅ニーズはさらに高まるだろうし、高架化により生まれたスペースの活用も気になる点。今後は、新しいまちづくりが検討されるだろう。
ちなみに、春日原駅から下大利駅の区間では、西鉄と春日市・大野城市が高架下を有効活用し地域活性化を目指す協議会が発足している。
また、春日原駅周辺は駅周辺の交通体系の確立と交通結節点機能の向上を図り、賑わいを形成する空間の基盤づくりに向けて、春日原駅へのアクセス道路、東西駅前広場および側溝の整備も進めている。こういった動きは他の駅にも波及するに違いない。今回の高架化事業で、沿線はますます活性化していくだろう。
一方、忘れてならないのは天神大牟田線の起点である西鉄福岡(天神)駅周辺で進められている、大規模再開発プロジェクトの「天神ビッグバン」。旧大名小学校跡地に建設された「福岡大名ガーデンシティ」内の「ザ・リッツカールトン福岡」は6月に開業する予定だ。
他にも複数の建築計画が進行中で、最先端の複合施設がまだまだ誕生する。新たな雇用が生まれることで最寄りの西鉄福岡(天神)駅の存在感はさらに高まり、天神大牟田線の利用者も増える可能性が高い。天神を中心に、沿線のさらなる発展は約束されているようなものだ。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))