福岡市の住宅地における地価ランキングの上位に、九州の商業・ビジネスの中心地である中央区と並んで登場するのが、早良区である。令和5年の地価公示ランキングでは、トップ16までの全てが中央区と早良区の住所で占められている。
1980年代に開発された海寄りの「福岡タワー」や「シーサイドももち」が早良区を代表する有名スポットだが、古くからの高級住宅地として知られているのは、早良区西新(にしじん)の地名である。地価公示ランキング上位も全て西新とその隣接エリアとなっている。なぜこのエリアの地価が高いのか。

それは、早良区西新には、九州屈指の名門・福岡県立修猷館高校と最難関私立の西南学院大学が校舎を並べているからである。西南学院大の隣には、2023年に創立150周年を迎える福岡市立西新小学校があり、さらに道路を挟んで早良区百道浜(ももちはま)の住所には西南学院小・中・高もある。

地下鉄空港線西新駅から福岡タワーのある百道浜までは他にも福岡市博物館や福岡市総合図書館、インターナショナルスクールもあり、九州随一の文教地区を形成している。教育環境の良さと天神、博多駅までのアクセスの良さからファミリー層に人気が高く、マンション需要が堅調なのがこのエリアの特徴である。
地元の不動産仲介業者によると、西新小学校は公立小ながら教育水準が非常に高いことで有名で、県外からの転勤族がこの学区指定で物件を探すそうだ。ファミリータイプのマンションの賃貸需要が特に旺盛で、引っ越しシーズンにはマーケットに出す前に成約する事例も多いという。
「地下鉄西新駅は福岡空港からも地下鉄で一本。そのため、東京に本社を構える一流企業の社員が多い。家賃は会社負担で、90平米前後の3LDKや4LDKが20から25万円で借り上げられている」とのこと。
さらに、このエリアには西新駅直結の大規模タワマンとして話題になった「ブリリアタワー西新」や百道浜を一望できる高級マンション「グランドメゾン百道浜オーシャン&フォレスト」などの分譲マンションが家賃50万超えで賃貸に出されている。
中には1月額100万円を超える募集もあり破格に思えるかもしれないが、こうした高級賃貸は支店長クラスの転勤族や外国人駐在員の需要に合致するのだという。インターナショナルスクールがある早良区ならではの賃貸需要と言えるだろう。
アジアのビジネスハブとして成長を続ける福岡には、国内外の企業が資本と人材の投資を加速している。今後も福岡には県外、さらには国外からの転入者が増える見込みで、早良区の賃貸需要は堅調に伸びていくだろう。
中央区と比較するとまだまだお手頃感のある早良区に早めに注目してもらいたい。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))