西日本シティ銀行本店本館建て替えに伴い
大規模な再開発プロジェクトが始動
福岡県の県庁所在地で、最大の都市として知られる福岡市。同市の中核エリアである天神と博多では、「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」と称する、過去最大級の再開発プロジェクトが進行中だ。これにより、両エリアでは続々と新施設が誕生し、まちの魅力や利便性は右肩上がりするばかり。これを受けてか、福岡市人口増加数と増加率、市税収入の伸び率は、全国トップを誇る。

今年3月27日には地下鉄七隈線が博多駅まで延伸し、交通の利便性が格段に増した。その周辺でも都ホテル博多や博多イーストテラスの開業など、まちの様相は目まぐるしく変化している。
そうしたなか、西日本シティ銀行と福岡地所は今年3月、同行本店本館の建て替えプロジェクトの概要を発表することに。本店機能に加えて、オフィスや商業店舗、約400人規模のホールが入る複合施設を新たに開発するという。

出所:プレスリリース
新ビルは地上14階・地下4階建て。博多コネクティッドの認定を受けたことで容積率が緩和され、延べ床面積は旧本店の約3倍となる7万5678uとなる。1階は飲食や物販などの商業フロア、2階から9階の一部が銀行本店、他は賃貸オフィスとなる予定。地下2階で博多駅の地下通路と直結するので、地上の道路を使わずに双方にアクセスできる。
新ビルの特徴は大きく6つ挙げられる。それぞれについて解説しよう。
特徴1:大規模立体広場「コネクティッドコア」
敷地北東側に地上・地下の歩行者ネットワークの核となる大規模立体広場」コネクティッドコア」を整備。博多駅から住吉通りやはかた駅前通りへの回遊性向上につなげる。

出所:プレスリリース
特徴2:緑化空間の創出など環境配慮
優れた環境配慮技術を採用することでエネルギー削減量50%以上を達成し、ZEB Readyの認証取得を目指す。建物の足元部分の柱や花や緑に加え、広場などには中低木を植え、緑が連続する緑化空間を創出する。
特徴3:アクセス性に優れ、BCPや感染症に対応したハイグレードオフィス
地下通路で博多駅につながることで、国内外へすばやくアクセスできる利便性・回遊性を確保。オフィスフロアは博多駅前エリア最大級の基準面積を有し、多様化するワークスタイルおよびウェルビーイングに配慮する。
地下3階には柱頭免震構造を採用し、大規模地震を想定した耐震性を実現。災害発生時のライフライン寸断に備え、72時間対応の非常用発電機も設置。建築基準法で定める水準以上の換気設備や自動換気スリット、非接触でのエレベーターシステムなども導入する。
特徴4:洗練されたデザイン
デンマークを拠点とする国際的な建築デザイン事務所「3XX Architects」が内外装をデザイン。ランドマークとなる洗練されたデザインを実現する。
特徴5:地域に開かれたホールの設置
著名音楽家が室内楽コンサートを開催できる高い音響性能を持ったしつらえに加えて、地域住民がセミナーや会社説明会など多用途に利用できる施設として、約400人規模のホールを地下に設置する。

出所:プレスリリース
特徴6:「Fukuoka Art Next」への取り組み
敷地内にはアートの設置を計画。アートのある暮らし(アートの持つ価値と魅力を市民が再認識し、国内外に発信するまち)の推進に寄与する。
単なる複合施設ではなく、地域のにぎわいを生み出す拠点となることを目指した、今回のプロジェクト。とりわけ、駅前の好立地に住民が使えるホールが生まれるのは、深く歓迎されるに違いない。他の博多コネクティッドのプロジェクトとの相乗効果で、博多駅前にもますます人は集まるだろう。今後だが、2023年11月ごろに着工、2026年1月ごろの竣工を目指す。
ちなみに、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、博多駅周辺にある賃貸マンションの賃料は直近3年間で8.09%上昇している。これは福岡県全体の変動率7.11%に比べて高い水準。今回の再開発で、まちの付加価値はさらに押し上げられるかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))