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選択肢の一つ、水辺の利活用。大阪市大正区の複合施設「TUGBOAT_TAISHO」(タグボート大正)誕生

都市計画・再開発(地域情報)/大阪 ニュース

2020/03/16 配信

尻無川沿いの細長い土地に立地する
尻無川沿いの細長い土地に立地する

近年、水辺の利活用が進んでいる。そんな中、2020年1月に大阪市大正区の北の端、尻無川(しりなしがわ)の河川敷に第一期部分が開業した複合施設がある。「TUGBOAT_TAISHO(タグボート大正)」だ。

集まっている施設は飲食店にバー、ライブホール、舟運にホテルなど。河川敷という珍しい場所に誕生した施設だけに話題になり、各種メディアなどにもよく取り上げられている。

大正区内にある大正駅は大阪環状線、大阪メトロ長堀鶴見緑地線が交差しており、心斎橋から大阪メトロ利用で10分ほど。その他の主要エリアからもさほど遠くない地域だが、区全体が運河に囲まれており、遠い印象があるのだろうか、大阪市の24行政区のうちではもっとも人口が少ない。かつ人口減少率はもっとも高い。

その一方で利便性に比して家賃が安く、空き家も多いことから、伸びしろがあると考える人もいる。まちの魅力を活かした場が作れれば人を呼ぶことも可能ではないかというのである。そのために使われたのが水辺。大正区は区全体が運河に囲まれた島状のまちなのである。

試み自体は2014年、大正区が設立した「尻無川河川広場周辺エリア活性化協議会」に始まる。同協議会は2015年に社会実験として「Taishoリバービレッジ」を開催。手ぶらで楽しめるバーベキュー、暫定設置した船着き場からのクルーズ、週末の屋台出店などを柱に最初の1カ月で約1万4000人が訪れたほど。その人気から期間は1カ月延長されてもいる。

見下ろすとこんな感じ。写真の左手に駅がある
見下ろすとこんな感じ。写真の左手に駅がある

その後、イベントとしての活用ではなく、常設の施設を作ろうと大正区では2016年に「にぎわい創造拠点整備・管理運営事業」の公募型プロポーザルを実施。今回の事業者であるRETOWNを選定し、以降、複合施設オープンに向かって事業が進められてきた。

フードホールは中央に飲食できるスペースがあり、周囲に飲食店が並ぶ
フードホールは中央に飲食できるスペースがあり、周囲に飲食店が並ぶ

第一期としてオープンしたフードエリアは船上レストラン、ベーカリーカフェ、フードホールなど様々な形態があり、計16店舗。川の反対側には年間200万人が訪れるという京セラドーム(西区)があることから、イベントなどで対岸まで来た人たちはもちろん、インバウド層、地元層と広く来客を見込むという。

夜景はこんな感じに。今後、現在ある場所の先にホテル等が作られる予定
夜景はこんな感じに。今後、現在ある場所の先にホテル等が作られる予定
この施設限定のオリジナルメニューを出す店もあり、食の分野での関西の強さを思い知らされた
この施設限定のオリジナルメニューを出す店もあり、食の分野での関西の強さを思い知らされた

開業前日の内覧会にお邪魔したのだが、水辺というロケーションは非常にロマンチックであり、そこに他にない飲食店が並ぶ、とても魅力的な空間になっていた。一般的にある程度の規模以上の施設ではリーシングを専門の事業者に任せてしまうことが多いが、この施設では運営に当たるRETOWNが一店ずつ直接1店ずつ会って決定したのだとか。その上で地元あるいは食材の産地に貢献している店を選んだそうで、他のモールなどと異なる独自性が新鮮だった。

ピザ窯のある水上レストラン。ロマンチックな雰囲気。対岸に京セラドームがある
ピザ窯のある水上レストラン。ロマンチックな雰囲気。対岸に京セラドームがある

また、水辺ならではの日本初もあった。それがピザ窯の載った水上レストラン。2020年秋にはやはり水上に浮かぶホテルの開業も予定されており、そちらも日本初になる。当初は河川敷に建設することになっていたが、地中に障害が見つかり、水上に浮かせることになったそうで、それがために開業は予定より1年遅れた。その大変さは推測するものの、結果としてはどこにもない空間が生まれることになり、プラスではないかと思う。

ちなみにホテル開業前の2020年の春以降にも舟運の拠点やワークショップ、シェアアトリエなどが作られる予定で、注目したいのはUSJまでの定期船の運行。

USJ開業時には10社以上が中心部と施設を結ぶ舟運に乗り出したが、現在はすべて撤退している。だが、当時の大阪の舟運と現在を比べると事情は大きく変わり、舟運利用者は確実に増えている。大阪万博なども含めて考えると、舟運の拠点としての大正区には可能性があるのではなかろうか。

シャッターの下りた店も多い商店街
シャッターの下りた店も多い商店街
モノ作りのまちである大正の特徴を活かそうと空き家を利用して作られてヨリドコ大正メイキン。1階に工房、ショップが入り、2階は住居
モノ作りのまちである大正の特徴を活かそうと空き家を利用して作られてヨリドコ大正メイキン。1階にアトリエ、店舗が入り、2階は住居。2017年にオープン
駅近くにはゲストハウスも。都心から近く、物件を安く借りられるならアリかもしれない
駅近くにはゲストハウスも。都心から近く、物件を安く借りられるならアリかもしれない

ただ、現状の商店街等は寂れており、ところどころに若い人がオープンしたと思われる宿泊施設、長屋を改装したアトリエ+住居+店舗一体の「ヨリドコ大正メイキン」など少しずつ面白い場も生まれてはきているものの、もう少しテコ入れが必要かもしれない。そのためにはタグボート大正がどこまで、その名の通り、この地域を牽引できるか。その活躍に期待したいところである。

健美家編集部(協力:中川寛子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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