大阪、京都からそれぞれ21キロちょっと。両都市のほぼ中央に位置する大阪府高槻市で現在は農地が大半という地域に新駅建設の動きがある。
高槻市の市域面積は105.31?と府内第4位の広さがあるが、市域のうちの市街化区域は約3割ほど。山林や農地が多くのこされており、市街化率は近隣の北摂7市のうちでももっとも低いレベルにある。新駅建設が検討されているのも現状は農地が大半を占めるエリアである。


高槻市によるとは新駅が検討されているのはJR京都線・島本駅と高槻駅のほぼ中間で、檜尾川以東。同区間の駅間距離は京都〜大阪間ではもっとも長く、5.3km。線路が4本敷かれた複々線区間でもあり、主に快速、普通列車が走行する内側線路の間位に島式のホームを設ける形での検討が進められているという。

駅だけでなく、新市街地整備の検討も同時に進められている。新駅の設置には1日あたり7000人程度の利用者が必要だが、現状ではそれだけの利用者は見込めない。そこで駅周辺の、JR京都線の南から東にかけての最大で約38haを対象に市街地整備を検討しているというのである。
高槻市の同エリアでは2023年度の全線開通予定の新名神高速道路(高槻−神戸間)及び高槻インターチェンジに直結する高槻東道路等の供用や十三高槻線及び牧野高槻線(淀川渡河橋)の事業化など、交通利便性の向上が見込まれている。
それを踏まえ、高槻市とJR西日本では2017年度以降、檜尾川以東で新駅設置を含めた新市街地の形成の可能性についての検討を進めることで合意。2019年3月にはまちづくり連携協定を締結している。
開業時期その他の詳細についてはまだこれから検討とのことではあるが、新名神高速道路開業の2023年度に向けて今後、動きがあるのではなかろうか。
ところで高槻市は1970年代以降、大阪、京都の中間という立地からベッドタウンとして宅地開発が進んだまち。人口も1995年には36万人にまで増加していたものの、その後、2000年以降は減少傾向にあった。


だが、2004年以降、JR高槻駅北口の再開発を機にタワーマンションが増加。また、2010年には同じエリアに関西大学高槻ミューズキャンパスが誕生するなどで人口の社会増が見られるようになってきている。2019年に一部開園した安満遺跡公園のような若い子育て世帯に向けた施策も多く、今後、新駅と同時に新たな市街地、住宅の供給があれば、これまで以上に選ばれるまちになる可能性もある。今後の検討の結果を楽しみにしたい。


ちなみに高槻市は市街化調整区域が多いだけでなく、大小500基以上の古墳を有する三島古墳群などのある日本でも有数の古墳群地帯。開発に関してはその点の注意が必要であることを覚えておきたい。
健美家編集部(協力:中川寛子)