
淀川区役所跡地の再開発を機に
下町・十三がブランド価値を強化
大阪市淀川区の阪急電鉄「十三(じゅうそう)」駅東側の淀川区役所跡地に、40階建ての複合施設棟や学校施設棟の建設を中心とする再開発が進められている。
2020年10月には、大阪市はこの再開発に関する開発事業予定者として、代表事業者に阪急阪神不動産、共有事業者には十三に本社を構える松建設と基本協定を締結。
このまちづくりは「十三地区のブランド向上」「にぎわいづくりや交流促進」「淀川区政推進への寄与」を掲げ、十三の都市ブランドを高めていくという。
ちなみに、施設の整備は今のところ2022年12月より着工、2026年6月に竣工する予定となっている。
梅田までたった一駅の十三は
便利で庶民に優しいまち
十三エリアは一級河川の淀川を挟み、大阪キタの中心地である梅田の対岸に位置。古くから下町風情が漂う歓楽街として、特に駅前は活気溢れる商店街や安くて旨い飲食店が軒を連ねることから、雑多な印象がありながらも庶民に優しいまちとして知られている。
また、交通アクセスの良さも魅力的だ。神戸線・京都線・宝塚線が乗り入れる阪急の主要ターミナル駅で、普通から特急までほぼすべてが停車。阪急「大阪梅田」駅までは、わずか5分弱で到着する。
そのうえ、家賃相場は1Kで約5.5万円、1LDKで約8万円、2LDKで約10万と比較的リーズナブルなこともあり、梅田近辺に通勤する人や大阪・神戸・京都の大学に通う学生など、単身者を中心に人気を集めている。
十三駅東改札口から徒歩約2分
淀川区最高層のランドマーク誕生へ
再開発の計画地は、十三駅東改札口から十三駅前通商店街を通り抜け、徒歩で2分ほどの好立地だ。


再開発の目玉となる複合施設棟は、高さ142mの超高層タワービル。淀川区には100mを超えるビルが新大阪のアパホテル(約105m)とニッセイ新大阪ビル(約101m)の2棟のみであることから、淀川区最高層のランドマークとして認知されるだろう。
4〜40階には約660戸の分譲住宅が整備されるほか、1階にはスーパーマーケット、2階には市立図書館、3階には保育・学童施設が入居し、ビルの関係者のみならず、地域住民の暮らしも支えていく。
また、複合施設棟から道路を隔てて西側に位置する8階建ての学校施設棟には、医療・スポーツ系の専門学校が完成する予定となっている。

交通の拠点として、生活の拠点として
“新たな価値”に期待が膨らむエリア
将来的には新大阪連絡線やなにわ筋連絡線の開通が予定され、交通アクセスが今以上に便利になっていくと予想される十三。神戸線・京都線・宝塚線の阪急主要線に加え、計5路線が乗り入れる巨大ターミナルへと変貌を遂げつつある。
これまでの十三駅周辺は活気やにぎわいがある一方で、「ファミリー暮らし」をイメージできる環境とは言い難い側面もあった。しかし、このまちづくりを機に、子育て支援や教育環境の充実、防犯・防災の強化もさることながら、地域コミュニティの活性化も促されていくはずだ。
アクセスの拠点になるだけでなく、人々がまちを訪れ、集まり、住まう拠点として、“新たな価値”が生まれつつある十三エリアを期待せずにはいられない。
健美家編集部