公立大学の統合・新キャンパスの
整備に伴い2028年に新駅設置
少子化や運営の効率化などを目的に、近年は大学の統合が相次いでいる。2022年であれば兵庫医科大学と兵庫医療大学が兵庫医科大学に、2023年には天理大学と天理医療大学は天理大学、2024年には東京工業大学と東京医科歯科大学が東京科学大学に統合される。

こうしたなか、大阪府立大学と大阪市立大学が統合して2022年に新設されたのが、大阪公立大学だ。1学域12学部、大学院16研究科(2023年2月現在)で学生数は約1万6000人となり、その規模は公立大学としては全国最大規模。学部学生入学定員数(国公立大学)は大阪大学、東京大学に次いで第3位になる。
同大学は現在、杉本、阿倍野、りんくう、中百舌鳥、羽曳野、なんば、梅田にキャンパス・サテライト拠点を展開しているが、2025年には大阪東部の森之宮、大阪城公園の東側に「知の森」をコンセプトとした新キャンパスを開設する予定だ。
第1期・1.5期工事を経て地上13階・高さ約58mの棟が建てられ、全学の基幹教育、文学部、医学部リハビリテーション科などの学部・院が移転する。
そんな同キャンパスだが、現状の交通アクセスはJR環状線・地下鉄中央線の森ノ宮駅から徒歩10分と好立地と言い難い。その解消を目的に、大阪メトロが新駅「大阪公立大学前駅(仮称)」を設置する予定だ。
開業するのは 2028年春の予定で、既存の森ノ宮駅から北東に約800m「森之宮検車場」の敷地内という立地。地上駅で改札の目の前がキャンパスになるので、交通アクセスは格段に向上する。

出所:「森之宮新駅構想について」
新駅の周辺には商業施設が整備され、JR環状線の大阪城公園駅とペデストリアンデッキで接続する計画もある。
大阪全体の発展を目的に大阪府・大阪市は東部地区の再開発を進めていて、これらの計画は、今後のまちづくりと無関係ではない。文化・観光・学術・交流機能が集積する東西都市軸上に位置する重要拠点であり、大阪城公園と一体となった大阪を代表する拠点になりうるポテンシャルを秘めていることから、親水空間や多世代向きの居住施設の整備、健康医療・環境などの既存資源を活かしたスマートシティの実証・実装フィールドしての活用が検討されていて、新キャンパス・新駅もこの計画の一環だ。

出所:「森之宮新駅構想について」
大阪メトロはまちづくりのコンセプトを踏まえ新駅を設置することで中央線の東の拠点を形成するのも目的だ。
これにより西の拠点となる夢洲と森之宮を直結し地域の活性化を図り、鉄道だけではなくオンデマンドバス、他の輸送モビリティとも結節した次世代交通ターミナルの実現、次世代鉄道システム導入向けた実証実験の場とした鉄道技術の進化。カーボンニュートラルの取り組みを進め、SDGsに貢献することも目的にしている。
キャンパス開設と新駅の設置を機に、周辺エリアの発展が期待され、大阪の進化に一役買いそうだ。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))