中長期滞在施設のノウハウと
海外に知名度の高いブランドのコラボ
ついに海外からの門戸を開いた日本、円安も追い風となってインバウンド需要が好調だ。
それに加えて、ホテルでのリモートワークやワーケーションといった新しい働き方のための滞在も増えている。滞在日数が長く、そのための消費も多い新たな需要層に対応して最近のホテルでは、客室内にキッチンや洗濯乾燥機を置くなど、長期滞在の機能を備えるところが増えてきている。
2025年の大阪万博、またその先の大阪IRもにらんで今後もインバウンド需要が見込まれる大阪。すでに、韓国、台湾、シンガポールなどを中心に渡航者がかなり増えている。
そんな大阪の中心地、大阪メトロなんば駅から徒歩4分、心斎橋から徒歩5分のところに2022年12月1日に開業した「東急ステイ メルキュール 大阪なんば 」(全288室)は、中長期滞在型宿泊施設を展開する東急ステイとフランスのアコーホテルズのダブルブランドのホテルだ。


総支配人の荒木昌志氏は
「東急ステイは短期賃貸物件ではなくホテルですが、シンプルな客室だけでなく東急ステイの最大の特徴である洗濯乾燥機やミニキッチンを備える中長期滞在に最適な客室も揃えています。定期借家で賃貸契約を結んでいただくサービスアパートメント東急ステイレジデンスでは、”トランクひとつでホテルのような快適なライフスタイル”を提供していますが、こうしたレジデンスとの融合型だと思っています。
全288室のうち74室は、キッチン、電子レンジ、洗濯乾燥機を備えており、大人4名が泊まれるファミリータイプも16室設けています。また、レストランやバーカウンターのあるショップ、さらにジムや滞在の方がくつろげるラウンジ、コワーキングスペースもあり、いろんな目的で期間も様々な滞在に対応できるハイブリッドな施設になっています」
と語る。客室内にキッチンを設けるのに、キッチンシンクとしても使えるオープンなベーシンするなどのスペースの取り方は、ワンルームの部屋のレイアウトとして参考になる。


滞在日数の長い
インバウンドの宿泊客
「大阪のビジネス中心でもあるキタに対してミナミでやっていくのには、アコーホテルズの知名度の高さで海外へのアピールを図れればと思いました。一方、メルキュールブランドは今まで長期滞在の機能を持っていなかったので、アコーホテルズからもこのジョイントにとても興味を持ってもらいました。
大阪をベースキャンプにして、昼は京都に、夜は大阪に戻って楽しく過ごすという過ごし方の方も多く、今は8割ほどが海外からのゲスト。
日本人の平均滞在日数2日に対して、海外からのゲストは3泊はしている感じです。長期滞在ゲストは宿泊中の清掃をスキップされることもあったり、清掃も簡易で済みます」とホテルとしても効率がよいという。

こうした機能的な滞在施設でありながら、アコーホテルズのヨーロッパらしいセンスのインテリアがとてもスタイリッシュ。
リビングタイプで一番小さいのはスーペリアクインリビングで25u〜。最近は、サブスク(定額料金制)でこうしたホテルをホッピングするようなシステムも生まれてきている。ホテル滞在と暮らしの場の間も狭まってきている昨今である。
執筆:
(おのあむすでんみちこ)