本州日本海側で最大規模の都市・新潟市で駅周辺の大改造、そして市が都市軸と呼ぶ中心市街地を結ぶライン上で大規模な再開発が進められている。

まず、駅周辺では連続立体交差事業、幹線道路整備事業、駅前広場整備事業の3つの事業を中心に、駅周辺市街地の総合的な整備が進められている。市のホームページによれば新潟駅周辺には鉄道、周辺道路、交通環境、駅前広場に交通渋滞、歩行者の安全確保などそれぞれに課題があり、その課題解決に加え、日本海拠点都市新潟の陸の玄関口として都市機能の強化を図るためのものという。

順に説明しよう。新潟駅付近連続連続立体交差事業では駅周辺の約2.5qを高架化、2カ所の踏切を除去することで、幹線道路の整備及び駅前広場の整備が行なわれる。
これにより線路を挟んだ駅南北が踏切等で妨げられることなくスムーズに通行できることになり、交通渋滞緩和に繋がる。合わせて行われている幹線道路整備事業は高架下を通る路線を整備するためのものである。
また、連続立体交差と同時に新幹線、在来線を同じホームで乗り換えられるようにする同一ホーム事業も行われており、2021年度頃にはすべての在来線が高架化し、それによって新幹線との乗換えに要する時間が短縮されるという。
この事業については新潟市だけでなく、新潟県、JR東日本の三者で事業が進められている。これによって新潟の利便性が高まるだけでなく、秋田、山形方面など羽越線沿線との連携が強まることが期待されてもおり、拠点駅としての新潟の地位向上に繋がるはずだ。
2021年頃の高架化終了後から駅前広場整備事業がスタートする。現在の予定では2022年度頃に高架下交通広場、2023年度頃に万代広場の供用を開始する予定とのことで、高架下に新たな空間が生まれる。


首都圏でも高架下の活用については様々な方法が試みられており、活用次第ではまちの賑わいに資することが分かってきている。現状では交通広場が生まれ、駅の南北を結ぶバス路線に歩行者などが通行できることになっており、一部は公共空間として使われることにもなる。また、駅の南北いずれもの前には「都市の庭」と仮称された、人が集まるような広場も計画されている。
交通関係の事業の目途がつきかけていることを考えると、駅前周辺の整備についてはほぼ見えてきた状態だが、同様に新潟市が都市軸を名付ける新潟駅、近年存在感を増している萬代橋エリア、そして旧来からの商店街古町を繋ぐラインに重要な意味を持つ中心市街地の再開発もだいぶ、見えてきている。

これは駅、萬代橋、古町を一直線に結んだ終点にあたる、古町通7番町地区での市街地再開発「古町ルフル」で、2010年に閉店した百貨店跡地。かつての中心市街地のど真ん中といっても過言ではない立地であり、ここを空けておくのはまちのイメージを大きく毀損する。閉店以降すぐから再開発が検討され、2020年には完成する予定。中心市街地の再生をかけてということだろうか、完成後は現在、中心部から少し離れたところにある新潟市役所が移転してくる予定である。


ここまで市のこれからにプラスになりそうな情報をご紹介したが、実はマイナスの懸念もある。ひとつは再開発エリアの斜め前にある新潟三越が2020年3月に閉店することが決まっているのである。せっかく、新たなビルで空いた穴を埋め、賑わいをと考えたところに、ひとつ新たに穴があくのである。現在、中央区役所になっているNEXT21も元々は撤退したラフォーレ原宿のあった場所。これ以上、穴埋めは難しいはずだが、さて、どうなるか。
もうひとつ、古町通り沿いではかつて古町の顔として賑わった大竹座(だいちくざ。1972年に竣工した映画館、ボウリング場、飲食店などが入った商業施設)の解体工事が始まっているが、解体後の予定は決まっていないという。かつての一等地の、まとまった土地の使い道がない状態と考えると、中心市街地の疲弊は思っている以上に深刻なのかもしれない。
駅周辺、中心市街地の2カ所で進む開発だが、相乗効果を生むか、あるいは一方だけが栄える結果になるのか、今後の新潟が気になるところだ。
健美家編集部(協力:中川寛子)