先日、リゾート界の風雲児である星野リゾート生誕の地にあるフラッグシップ「星のや軽井沢」に取材に行った。「谷の集落」をコンセプトにしたラグジュアリーリゾートだが、この「星のや軽井沢」だけでなく、軽井沢では自然豊かな中に宿泊施設、商業施設などがある星野エリアを形成していて、広範囲に軽井沢を楽しめる開発をしてきている。
そんな星野エリアを歩いていて「星野リゾート 軽井沢 別荘Navi」という別荘地仲介・別荘管理の店舗を発見。実はオープンは2004年、16年目になるという。
あの星野リゾートが別荘を!という興味もあり、早速、軽井沢の別荘の資産性も含めて聞いてみた。お話を伺ったのはスタッフの櫻井貴弘氏。
― 軽井沢は投機的なエリアではないかと思いますが、物件相場や値動きも踏まえて、取得の目的や資産性などどのように捉えておられますか?
櫻井氏:軽井沢は、東京23区並に別荘各地で相場が異なります。平坦と斜面、道路付けや周辺環境によって価格や価値が大きく異なります。
一般的に言えるのは、土地価格の高い①鹿島の森(40~60万円/坪)②万平ホテル周辺(35~50万円/坪)③南ヶ丘エリア(25~38万円/坪)はブランドが安定しており投機的要素が多い取引も活発です。
そして、ここ6年でも、安い土地の価格はあまり動いていませんが、高い土地の方が値上がりして来ています。割合としては実利用目的が多いのですが地価が高いので立派な建物を建てても土地評価を中心に売買されています。
*坪単価は標準的な地勢および面積(保養地域300坪程度・居住地域100坪程度)の土地1坪当たりの相場、2019年11月。/星野リゾート 軽井沢 別荘Navi提供
ー軽井沢の別荘の利用法について 自己利用以外に最近の民泊など受けて、使い方のトレンドなどありましたら
櫻井氏:軽井沢は森が8割を占め、そこには宿は設けられません。さらに用途地域で一種低層住居専用地域のものは貸せませんし、土地協定などもあり、実需が多いですが、貸し別荘もありますので「貸しながら住まう」「借りながら購入機会を伺う」を勧めたいです。
軽井沢に住まうという観点では、軽井沢テレワーク協会も出来ており、昨今のリモートワークを受けて、軽井沢に住んで働いる方もいますし、ワーケーション対応の物件も出て来ています。
―日本人にとっては憧れの別荘地という感じですが、外国人の方からのニーズなどどうでしょうか?
外国の方もやや増えていると思います。今まで関わった外国の方の多くは外資系企業勤務の日本駐在者、海外での別荘体験をそのまま国内に望まれる形で軽井沢を選ばれています。コミュニティーと資産価値を重視される方が軽井沢に集まっている印象です。
アジア圏の方々は、欧米の別荘文化に触れた方は利用目的で購入されているようですが、投機としては価値が見出しづらく、実際購入できている顧客はわずかと思われますが、それでもすでに買われている方が数十組程はいるかと思います。
―御社取り扱い星野別荘地について教えてください。
昭和初期からの分譲で現在約250棟程の別荘コミュニティーです。戦時中の疎開の場所にもなり、ご家族3代目オーナーも増えています。現在は別荘の通年利用化を求められる方々をターゲットとしてインフラ整備と開発分譲を進めています。一昨年に蕨尾の森という分譲地を作り、現在2期目の開発を進めています。
櫻井氏の話から、やはり軽井沢は実需が多いが、リモートワークやマルチハビテーションといった住まい方が出てきて、別荘が贅沢に週末や休みだけに滞在というより通年使用する人が増えてきているようだ。
キャピタルとしては、やはり値上がりする土地は元々ブランドがあって高い土地。そのほかはここ5年ほどではあまり変動がなく、逆にいうと地勢などの条件が適さないとだめだが、坪10万円以下でも土地が見つかるとも言える。
憧れの軽井沢、新たなワークステーションとして、住みながら仕事、住みながら貸せるという場所を探すのも一考かもしれない。
文/小野アムスデン道子
経歴
元リクルート週刊住宅情報関西版編集長、月刊ハウジング編集長を経て、メディアファクトリーにて、世界的なガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集に携わったことから観光ジャーナリストに。東京とオレゴン州ポートランドのデュアルライフと世界中を巡る取材で旅を基軸にしたライフスタイルについて執筆。国内外で物件運用中。ownmedia【W LIFE】で40代からの豊かな暮らし方を発信。