既存百貨店は
2023年2月に営業を終了
山梨県の甲府駅近くで岡島百貨店を運営する株式会社岡島は、同百貨店の営業を2023年2月に終了し、同百貨店の北に隣接するショッピングセンターの「ココリ」内へ移転すると発表した。
百貨店の跡地はタカラレーベンが取得して次世代型の商業施設などを整備する。
岡島百貨店が移転する主な理由は、建物および施設の老朽化だ。岡島が記者会見で発表した内容によると、安全性を保ちながら営業を継続するためには大規模な改修が必要となったことから、移転を決定したという。
2022年9月時点で岡島百貨店の中には132店舗が入っており、甲府駅周辺の商業施設の中ではかなり大きい方に入ると言えるだろう。
岡島百貨店は山梨県内で唯一の総合百貨店となっており、現在の建物規模も9階建てと大きい。
しかし、ココリに移転後の売場面積は現在の約7分の1と大幅に縮小される。
岡島百貨店は前身の呉服屋から数えると100年以上に渡って営業を続けてきたが、2002年以降は2度に渡る金融機関からの債権放棄を受けるなど厳しい経営が続いてきた。
移転・売場縮小の背景には、建物の老朽化とともに経営状況の変化もあると見ていいだろう。
現在の予定では、2023年7月に既存建物の解体工事を始め、2028年7月頃に再開発建物を完成させるという。
本稿の冒頭に掲載しているイメージ図から読み取るに、新たな再開発建物は地上5階建てで、屋上には市民の憩いの場となるような緑地が設けられるようだ。
商業施設の延床面積は約3,200㎡で、1階にも広場が設けられるという。
新しい商業施設は岡島百貨店と比較すれば小さいものになるが、老朽化した建物が新しくなれば、街のイメージアップにつながると考えて良いだろう。
また、甲府市内に20階を超えるような高さの建物は多くないので、タワーマンションの方も甲府駅近辺の都市化を感じさせるものになると考えられる。
地元のニーズを捉えた
都市開発の発端となるか
甲府市では、甲府駅周辺の商業施設刷新を都市課題の1つと捉えている。
甲府市は2000年以降「甲府市中心市街地活性化基本計画」を策定しており、計画の中に掲載されている市民アンケートの結果によると、「中心市街地に行きたくなるお店や施設が減った」と感じている市民が多数いることが読み取れる。
※引用:甲府市
アンケートは2014年と10年近く前に実施されたものだが、中心市街地の行き先を問う設問に対しては、回答者の半数以上が岡島百貨店を挙げていた。
百貨店が閉店するなどの変化はあったものの、甲府駅周辺において大型の商業施設は確たるニーズがあると言えるだろう。
また、商業施設と並んで中心市街地に市民が必要と感じているのは駐車場だ。
※引用:甲府市
タカラレーベンが計画している再開発建物は、商業施設と約300台分の自走式駐車場を含んでおり、地元住民のニーズに沿ったものになっていると言える。
イメージ的にタワーマンションの方が目立つ点は否めないが、地元のニーズを汲み取った施設が開発されることで、今後甲府駅周辺に変化が訪れるかどうか要注目だ。
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取材・文:
(はたそうへい)