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加速する地方百貨店の閉店。新潟三越跡地では37階建て大規模複合施設の再開発がスタート

都市計画・再開発(地域情報)/金沢/北信越 ニュース

2023/05/14 配信

商業施設や住居が入る複合施設が誕生
地方が抱える課題解決の解消につながる?

複数の専門店が大規模店舗に集まり、販売する百貨店。日本では明治時代後期に誕生したとされ、アパレルからグルメまで幅広い商品が買えることや、リッチな雰囲気による非日常体験が味わえることから人気を博し、バブル期の1991年には全国百貨店売上高は9兆7130億を記録した。

国内における消費を支えてきた百貨店。大手グループ系から地方系まで、全国に店舗が広がっている。画像は新潟三越があった新潟市中央区の古町地区。
国内における消費を支えてきた百貨店。大手グループ系から地方系まで、全国に店舗が広がっている。画像は新潟三越があった新潟市中央区の古町地区。

三越伊勢丹や大丸松坂屋、高島屋といった全国展開する大手グループから、阪神阪急、東急、近鉄などの電鉄系、小規模ながらも地域住民に愛される地方系など、大小さまざまな百貨店が国内に点在しているが、近年は消費行動の変化や少子高齢化の影響を受け、経営状況は芳しくない。バブル崩壊やリーマンショックを経て売上高は下降を続け、2022年は4兆円台にとどまることになった。

徹底・閉店も相次ぎ、山形、徳島には日本百貨店協会加盟店が1店舗もなく、福島や滋賀、山梨などは1店舗のみ。かつて、各地域の県庁所在地やターミナル駅付近に陣取っていた百貨店の姿が消え始めている。今年に入っても東京・渋谷の東急百貨店本店、立川市の玉川高島屋S.Cの百貨店区画、北海道帯広市の藤丸が閉店した。

一方で、一等地にある百貨店跡地の活用は、まちづくりにおける重要課題。さまざまな形で再開発が進められていて、例えば2020年3月に閉店した新潟県中央区古町地区の新潟三越跡地の場合、地上37階建ての複合施設の建設が計画されることとなった。

新潟三越は新潟駅から徒歩10分に立地する百貨店。地場系の小林百貨店を発祥とし1980年に新潟三越となったが、近隣にある競合との争いは厳しく閉店にいたることに。その後、総合建設業の廣瀬(新潟市)と不動産大手の東京建物(東京都)が中心となり再開発準備組合を立ち上げ、2022年12月に今回のプロジェクトが具体化した。

かつての新潟三越。新潟市の商業の中心地が古町から万代にシフトしたことで客足が遠のき、2020年3月22日をもって閉店した。
かつての新潟三越。新潟市の商業の中心地が古町から万代にシフトしたことで客足が遠のき、2020年3月22日をもって閉店した。

再開発の予定地は、新潟三越と周辺を含む約1万㎡で、1階から3階に商業施設、4階から6階にオフィス、7階から9階に高齢者向け住宅、10階より上は計350戸のマンションになる予定だ。商業施設部分には屋上庭園、隣接する敷地には7階建ての駐車場を設け、複合ビルとの間を空中連絡通路で結ぶという。総事業費は約325億円で、そのうち65億円を新潟市が補助する想定。行政は300億円の経済効果を見込んでいて、竣工後25年で85億円の税収により投資分をペイできるとの考え。2028年度に完成、29年度の供用を目指している。

複合施設が建つ予定の中央区には県内最大級で31階建て・高さ約140mの「朱鷺メッセ」、21階建て・高さ約125mの商業複合ビル「NEXT21」がすでにあるが、今回の計画により高層ビルが増えることになる。

古町地区は業務・物販・飲食などが集積する複合拠点で、歴史の古いエリアだ。商業、住居が入る大規模施設ができることでにぎわいや雇用が生まれることは、まちづくりの観点からも極めて重要であるのは言うまでもない。人口減に悩む地方自治体にとっても税収の確保はもちろん、中心街に都市機能を集約することで、コンパクトシティの役割も兼ねる。

新潟三越のケースのみならず、今後は地方を中心に、撤退した百貨店に代わるランドマークがどんどん生まれていくだろう。国や地方自治体は積極的に取り組んでいて、商業施設・住居以外にも福祉施設や地域の交流拠点、公園などに再整備されるケースが目立つ。今年2月に営業を終えた山梨県甲府市の岡島百貨店も28階建てのマンションと商業施設に生まれ変わる。

ポイントは、単に店舗を作っても、人は集まらないということ。いまは郊外に百貨店に比べてリーズナブルに買い物ができる大型のショッピングモールなどがあり、ネットショッピングも普及した。住居やコミュニティ関連など、他の機能を組み合わせた拠点にすることで、まちの再生につながるに違いない。

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

大正谷成晴

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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