2014年末に閉館、現在は暫定的に低層のレジャー施設、駐車場として利用されている新宿ミラノ座跡地に東急電鉄と子会社東急レクリエーションが新しいビルの建設を予定している。
計画では地上40階建て、地下5階、高さでは約225mの超高層ビルとなっており、これは隣接するシネシティ広場(新宿区が管理)と合わせると、新宿東宝ビルに次ぐ規模。
用途としては劇場や映画館、ライブホールなどの娯楽施設に、訪日外国人を想定したホテルという複合施設に。地下のライブホールは最大約1500人、中層の劇場は約850席を予定しており、映画館は8つ程度のスクリーンという。着工は2019年度で、完成は22年度になる。
注目されるのは隣接される広場を客席と見立て、広場に面したビル壁面に大型画面と敷地内に屋外ステージが計画されている点。まちに開かれた施設が想定されているわけで、広場を運営するまちづくり団体「歌舞伎町タウン・マネジメント」と連携、さらなる賑わいを目指しているという。
また、同施設は災害時の防災拠点としても想定されている。具体的にはシネシティ広場に面した屋外ビジョンから防災情報を流すほか、劇場やライブホールでは最大約1700人の帰宅困難者を受け入れることを検討している。
訪日外国人をターゲットとしたホテルでは広さ、宿泊人数など様々なニーズに応えた客室を用意し、中間層のみならず、富裕層などの宿泊需要も取り込みたいとしている。
新宿エリアのホテルはこれまでも高い客室稼働率が続いており、いくらあっても足りないという状態。新宿ど真ん中のホテルは人気を集めることだろう。
加えて、1階には空港から直結するバスの乗降場、2階に待合スペースとして使えるラウンジも設置される。
さらに計画地を東西に貫通する通路を整備、西武新宿駅前通りも刷新して歩行者の回遊性を高めるとも。
■西武新宿駅改修計画で相乗効果
歌舞伎町界隈ではこの計画と呼応するように、もうひとつ、西武新宿駅の改装計画がある。西武新宿駅は新宿プリンスホテル、商業施設西武新宿ぺぺもあり、西武グループの重要拠点であるものの、視認性は今ひとつ。特に駅としての印象が薄いという声も。
そこで、駅入り口に改修によってその難をカバーしようというわけだ。合わせて池袋駅に次いで2か所目となる訪日外国人向け観光案内所「SEIBU Tourist Information Center」
を新たに設置するという。
新ビル、西武新宿駅は道1本を挟んでほぼ隣り合うような立地でもあり、これらの建設、改修が相乗効果を生むであろうことは想像に難くない。
特に西武新宿線はこれまでさほど大きく開発されてきていない、賃料や住宅価格、土地価格などが比較的手頃なエリアである。西武新宿駅周辺の認知度が上がり、利用者が増えれば合わせて価値向上もあり得る。今後の動向を注視しておきたいところである。
健美家編集部(協力:中川寛子)