東急田園都市線二子玉川駅といえば、多摩川沿いのしゃれたまちとして古くから人気があり、かつ再開発で全国的にも知られるようになったまち。古くから開発されてきているため、駅周辺には物件が建つ余地はなく、家賃、物件価格もかなり高めだ。
それに比べると、多摩川を渡るだけ、一駅遠いだけなのに隣駅、二子新地駅周辺はかなりお手頃と、このところ人気が高まりつつある。
二子新地自体は元々、大山街道(江戸時代に信仰を集め、多くの人が詣でた大山への道)沿いの、二子の渡しがあった場所で、当時は往来で賑わったまちである。その後、大正時代に花街が誕生、戦前の最盛期には100人もの芸者がいたとも。だが、戦後は徐々に衰退、10年ほど前までは寂れた雰囲気が否めない状態になっていた。
ところが、2010年に二子玉川再開発の第一期が完成。人気が高まるにつれ、隣駅である二子新地にも余波が及ぶようになった。
東京都世田谷区と神奈川県川崎市高津区であれば、賃料、物件価格が安くなるのは当然だが、再開発の利便性は十分に享受できる距離である。家賃、価格の安さを考えれば、それでもお得という判断をした人が少なくないのだ。
さらに2014年には商店街はあるものの、買い物の利便性が今ひとつと言われていた二子新地の高架下、改札の目の前にスーパーが誕生した。駅を降りた途端に賑やかなスーパーが目に入るようになったわけで、それがどれだけまちのイメージをプラスにしたか。
乗降客数は上昇基調にあり、まちを歩くと、アパート等の建設現場を複数見かけることができる。
商店街、大山街道沿いには若い層を対象にしたレストラン、ショップなどが明らかに増えており、食べログなどの情報から推察すると2012年以降、特にその傾向が顕著である。
加えて、歩いてみると空地、古いアパート、空き家などが点在しており、余地のない対岸とは全く違う状況である。これから5年後、10年後にはさらに変わりそうな、これからが面白いまちと言えそうだ。
健美家編集部(協力:中川寛子)