埼玉県さいたま市の中心地、大宮といえば2018年に「住みたい街ランキング」(リクルート)で初めてベストテン入りしたことで話題になった。2017年には15位だったことを考えると人気、注目度が大きくアップしたことが分かる。
■東西でそれぞれ再開発進行中
その大宮駅の西口と東口でそれぞれ1件ずつ、大規模な再開発が進行中である。しかも、東口側ではそれに加え、武蔵一宮氷川神社の参道沿いに点在する老朽化施設を順に移転、再編する連鎖型まちづくりが行われようとしており、まちが大きく変わることは必至。以下、具体的に見ていこう。
まずは比較的シンプルな西口側の開発から。大宮駅西口第3-B地区第一種市街地再開発事業は木造老朽建築物が多く、狭隘道路の多い西口エリアの防災性向上、土地の有効活用、交通環境の改善を目標として行われるもので、西口のシンボルであるソニックシティと道路を挟んで向かい合うエリア。
約1.3haの土地に14階建てのA棟、28階建てのB棟の建物が建設される予定で、用途は商業施設と住宅。A棟が85戸、B棟が511戸とかなりの数である。協力事業者は新日鉄興和不動産、三井不動産レジデンシャル、丸紅、前田建設工業で2022年7月の完成予定だ。
■これからの計画も複数あり
シンプルにとは書いたが、実は現在建設が始まっている隣地でも開発の予定がある。それが大宮駅西口第3-A、D地区。まだ都市計画が決定した段階だが、すでにタワーマンションの計画が漏れ伝わるように、今後、具体的な計画がまとまってくる日も近いはず。
この一画以外にも西口側ではそごうの裏側に当たる地区や現在開発が進んでいる地区の北側にある市営桜木駐車場の土地の有効活用などが検討されており、これからまだまだ変わるはずである。
■駅近くにオフィス、公益施設など
その西口側以上に大変貌を遂げそうなのが東口側である。こちらでは1966年に開店、2017年に閉店した大宮中央デパートの跡地などを利用して大宮駅東口大門町2丁目中地区市街地再開発事業が行われている。駅から160mという駅近立地であることから、東口側の顔として期待が高く、完成予定は2021年。
建物は18階建てで、10階以上はオフィス。4~9階は市民ホールなど多目的に使える公共施設が作られることになっており、1~5階(複数用途で使われるフロアもある)は商業施設が入る。ところどころにオフィスワーカーと地元の人たちなどとの交流を生む辻広場が作られることにもなっている。
■公共施設を再編、循環型まちづくり
もうひとつ、西口側で始まっているのが老朽化した公共施設をひとつずつ移転、新築しながら再編する連鎖型まちづくり。すでに2019年5月には大宮区役所、大宮図書館が新築、移転しており、2021年には市民会館おおみやが上記の再開発ビルに移転する予定。
今後は空いた大宮区役所跡地をどうするか、隣接する大宮小学校のこれからなど、順に検討が進んでいくことになっており、それによって地域は大きく変わることになる。
また、氷川参道と中山道の間を走る都市計画道路・氷川緑道西通線を整備する事業も進められている。この路線は現在建設されている再開発ビル、今後順に整備される公共施設を繋ぐような形で伸びており、これが整備されることで中心部の渋滞緩和が期待できる。
さらにここに自動車交通を移動することで、日本一長い、大宮市の大きな財産である氷川参道を歩行者専用道路にするという計画もある。利便性に加え、歴史、自然も尊重したまちづくりを進めるというわけで、これが実現されれば他のターミナル駅とは異なる個性を持つことになる。
1988年のソニックシティの開発以降、大きな開発が少なかった大宮駅周辺だが、これから数年で大きく変わるはず。注視しておきたい。
健美家編集部(協力:中川寛子)