2000年1月に運輸政策審議会答申第18号で、神奈川東部方面線の整備についての答申がなされてから20年弱。ようやく相鉄、JR、東急線の直通運転が見えてきた。2019年11月30日に第一弾となる相鉄・JR直通線が開業するのである。

これは相鉄線西谷駅とJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近間に約2.7キロの連絡線を新設し、それを介して相鉄線とJR線が相互直通運転を行うというもの。これによって二俣川駅と新宿駅間がこれまでの横浜線経由よりも約15分短縮され、約44分で繋がるようになる。

また、続いては2022年度の下期に相鉄・東急直通線が開業する予定。これはJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近と東急東横線・目黒線日吉駅間に約10キロほどの連絡線を新設し、この連絡線を介して相鉄線と東急線が相互直通運転を行うというもの。これにより二俣川駅と目黒駅がこれまでの横浜線経由よりも約16分ほど短縮され、約38分で繋がるようになるという。
もうひとつ、相鉄線、東急線ともに新幹線へのアクセスが便利になるというメリットもある。現時点ではどちらの路線を利用しても横浜線を経由する必要があり、開業後はそれが不要になる。東急東横線の場合、渋谷駅から約30分で新横浜に到達できるようになり、約11分短縮されるという。乗換自体がなくなる上に所要時間も短くなるわけである。相鉄線の場合はもっと短縮され、大和駅からの例だと約23分短縮され、約19分でアクセスできるようになるという。

もちろん、相鉄線が走る神奈川県の県央エリアと東京都心、横浜が新たなルートで結ばれることで混雑の緩和、選択肢の増大なども図れるわけである。
また、現在大規模な開発が進められている海老名駅前からすれば、この新線開業は願ってもない追い風。都心にも近く、地元には自然も大型商業施設もあって、価格も都心、横浜エリアに比べれば手頃という条件が揃った地域になるわけである。
同様に新綱島駅(仮称)界隈でも開発が進んでおり、周辺が大きく変わるであろうことが期待されている。
ただ、一方で複数路線の乗入れはいったん事故が起こった時の不通期間、遅延期間を伸ばすことにもなる。分かりやすいのは東京メトロの例だろう。国土交通省の東京圏の鉄道路線の遅延「見える化」(平成29年度)によると、東京メトロ路線のうち、遅延が最も少ないのは銀座線で1ヶ月(平日20日間)当たりの遅延証明書発行日数(日)は9.5日。ご存じの通り、銀座線は他社路線との乗り入れを行っていない。
逆に多いのは千代田線で18.4日。こちらは小田急線、常磐線といずれも長大な路線と乗入れており、影響を受けやすいものと推察される。
となると、利便性は向上するものの、何かあった時には止まりやすいということでもある。プラスがあればマイナスがあるわけだが、いずれにしても神奈川県県央部のポテンシャルが上がることは間違いない。
健美家編集部(協力:中川寛子)