2021年8月下旬に
オープン予定
東武鉄道は、東武スカイツリーラインの東武動物公園駅西口エリアで再開発計画を進めている。
約20,000uの敷地内に平屋建ての商業施設を建設しており、2021年8月下旬に開業する予定。
なお、施設の完成後は、テナントとして東武ストアおよび無印良品が入ることが決定している。
また、大規模な駐車場を併設して周辺からの集客を試みるほか、敷地内に芝生広場も整備して、地域住民同士の交流創出を目指す。
東武動物公園は駅西口から徒歩約20分の場所に位置しており、年間120万人が訪れている。
東武鉄道としては、地域住民に加えて動物園の来園者も集客したい考えだ。
2021年初頭の時点では、駅の東口側には日光街道沿いに様々な店舗が軒を連ねるが、西口側にはあまり目立った店舗がない。
スーパーマーケットというと、カスミフードスクエア宮代店が該当するが、駅からは徒歩15分と少々距離があるため、駅前に施設が完成すれば、西口側の消費ニーズは取り込めるだろう。
東武動物公園駅に
ついて
東武動物公園は東武スカイツリーライン沿線の駅で、東京都心へ出る場合には、北千住駅から乗り換えることになる。
JR西日暮里までで1時間かかるうえに、北千住までの間に南越谷など利便性の高いエリアもあるため、東武動物公園駅周辺では、東京都心で勤める人の賃貸ニーズは取り込みにくい。
なお、大宮駅までは電車で30分〜40分だが、西側約7qの位置にJR宇都宮線白岡駅がある。
大宮に勤める人が付近で家を探すとすれば、白岡駅の周辺で探すと予測される。白岡から大宮までは、電車の乗り換えなしで約15分の距離だ。
投資を考えるのであれば、地元か久喜駅周辺などで勤める人を入居者ターゲットとするのが妥当だ。
しかし、周辺で最も賃貸ニーズを見込めるのは、駅の西口から徒歩15分の位置にある日本工業大学の学生だ。
近隣の日本工業大学には
約4,000人の学生が通学
日本工業大学には、2020年度に約4,300人の学生が在籍している。
なお、東京の神田にもキャンパスがあるが、神田のキャンパスは専門職の大学院だ。
学生の多くは東武動物公園のほうにある宮代キャンパスに通学している。
また、入学者数を見ると、2018年以降の統計では安定して毎年約1,200人の学生が入学している。
キャンパスと駅との間にはシャトルバスが走っており、他のエリアから通学する学生も多数いると予測されるが、商業施設のオープンによって駅周辺の利便性が上がれば、キャンパスの近くに住む学生も出てくるだろう。
シャトルバスの存在を考えれば、賃貸ニーズを見込めるエリアは駅の西側だけに限らない。
ちなみに、最寄駅は別になるが、南側には共栄大学のキャンパスもあり、周辺エリアにおける学生の賃貸ニーズは高いと予測される。
可能性を探るとすれば
駅に近いエリアが妥当
日本工業大学のキャンパス周辺では、駅から離れていることもあり、賃貸アパートなどはほとんど目につかない。
住居の大半は戸建住宅で、駅へ近づくにつれていくつかのアパートが目につく印象だ。
また、生活利便施設に関しても、県道85号線の沿線にドラッグストアとコンビニエンスストアはあるが、スーパーマーケットがない。
なお、前述のカスミフードスクエア宮代店までは、キャンパスから徒歩で25分の距離があり、駅前を素通りするため、学生が利用するとは考えにくい。
生活利便性を考慮すると、駅周辺のエリアで物件または用地を探すのが妥当と言える。商業施設が完成すれば、駅周辺の生活利便性が向上するためだ。
生活利便性が向上すれば、春日部と久喜に挟まれて、注目を集めにくい当該エリアは穴場とも言えるスポットになるだろう。
取材・文:秦 創平