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人気のない自治体、常に上位の茨城県。危機感を持つ中、企業誘致に成功。評価が急上昇中

都市計画・再開発(地域情報)/横浜・川崎・千葉・埼玉/首都圏 ニュース

2021/06/06 配信

差し替えデータ経産省・工場立地動向調査②-22
▲出所:経済産業省

人気の都道府県ランキングなどで茨城県はワーストが続き、最下位を脱しても低位にとどまる。そんな全国的に注目されない茨城県が最近さまざまな観点から見直されている。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、都市部から地方に拠点を移す動きが住まいと企業の双方で散見される中、茨城県の企業誘致は全国1位となっている。経済産業省の「工場立地動向調査」によれば、2020年の立地件数は茨城県が65件と最も多く5年ぶりに1位に返り咲いた。工場や研究所を建設するなどの目的に1000㎡以上の用地を取得したり、借地した事業者数を調べたものだ。2位は愛知県(60件)、3位が静岡県(54件)と続いた。

面積で見ると、北海道が159haの誘致面積で1位だった。広大な土地を生かした結果となったが、茨城県が95haで2位に付けて、栃木県が3位(92ha)と続いた。

◎北関東の〝住みここち〟茨城県がトップ3独占

東京圏では、1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)の周辺エリアがじわりと評価を上げつつある。人気の都道府県ランキングなどで茨城、栃木、群馬の北関東は一様に人気のないエリアだったが、コロナ禍で企業だけでなく個人の住まいなどの拠点としても見直されつつある。

大東建託が定期的に調査する「街の住みここち」と「住みたい街ランキング」でもそれが現れている。同社が5月19日に発表した2021年北関東版では、住みここちでトップ3を茨城県が占めた。

1位が守谷市、2位が東海村、3位がつくば市だった。つくばエクスプレスで最短32分と東京・秋葉原まで行ける交通利便が評価され、ベッドタウンとしての存在感を高めている。東海村は昨年の7位から急浮上しているが、その背景について子育て支援が手厚いことが評価を受けたとしている。

茨城県。街の住みここち北関東版
▲出所:大東建託「街の住みここちランキング2021<北関東版>」

住みたい街ランキングでは、茨城県、栃木県、群馬県でトップ3位を分け合い1位が高崎市、2位につくば市、3位に宇都宮市だった。1位と2位は昨年と入れ替わったものの、上位3位の顔ぶれは昨年と同じだ。

つくば市は、研究学園都市として人口が増加傾向にあることが注目を受けている。そのつくば市では、街の再生が進んでいる。2017年と2018年に「西武筑波店」と「イオンつくば駅前店」が相次いで撤退したことで街が廃れるのではとの懸念が及んでいたが、デベロッパーの日本エスコンが地域密着型のショッピングセンターを5月にオープンしたことで地元では胸をなでおろしている。

3つの既存建物をリノベーションや用途変更により「tonarie つくばスクエア」として一体整備した。スーパーマーケット、専門店、キッズスクール、物販、学習塾、クリニック、トレーニングジム、飲食店、オフィスなどを誘致した。

◎重厚長大産業の衰退に危機感

とりわけ茨城県は危機感が強く、「いばらきカーボンニュートラル産業拠点創出プロジェクト」を5月に発表した。危機感の背景にあるのが、これまで県の税収を支えてきた重厚長大産業の衰退だ。

代表的な例が鹿島臨海部の日本製鉄(旧住友金属工業)が高炉2つのうち1つを休止することを決めたことだ。地元経済への影響とともに新たな産業誘致に迫られている。県によれば、2020年度の地元市の財政力指数は鹿嶋市が県内5位、隣接する神栖市は県内1位と鹿島臨海部の工業地帯が地元市の財政に大きく寄与している。

茨城県・臨海部カーボンニュートラル全体像
▲出所:茨城県庁

脱炭素社会に政府は舵を切った。茨城県内は大規模産業からの二酸化炭素排出量が多く、産業系からの排出が56.3%を占めている。新たな産業として、再生可能エネルギーに焦点を当てて、洋上風力関連産業や太陽光を活用でスマートシティでの新エネルギー利用も視野に入れている。

県は企業立地の拡大に向けて本社機能の移転などに最大50億円の補助を出すことも決めた。

規制緩和や税財政、地元調整、企業・研究機関とのマッチングでの支援も打ち出す予定だ。自治体の手厚い支援策が地方の衰退を防ぎ、新たなビジネス好機を生み出す好例になるか注目を集めている。

(取材・文 鹿嶋淳一)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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