東京と横浜に挟まれる恵まれたエリア
交通の便がよく人口増加も納得
川崎市といえば神奈川県の北東部に位置し、多摩川を挟み東京都と隣接、南は横浜市と接する自治体だ。地形は細長く、市内を縦断する形でJR南武線が通り、南武線と交差する形で海側から京急線、東急東横線。東急田園都市線、小田急線、京王相模原線が走っている。

市内には川崎港側から、川崎区、幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、麻生区の7つの区があり、中心となるのは川崎駅・京急川崎駅がある川崎区。駅東口には繁華街や商業施設が建ち並び、西口には巨大商業施設のラゾーナ川崎プラザも。
中原区で多摩川沿いの武蔵小杉駅周辺にはタワーマンションが林立し、臨海部には京浜工業地帯も広がる。繁華街、工業地帯、超高層マンション街、郊外の新興住宅と、一つの市ながら多様な顔があり、域内で働くビジネスパーソンが多いのはもちろん、東京・横浜のベッドタウンとしても機能している。
そんな川崎市だが、5月に市が発表した2020年の国税調査の速報値によると、人口は153万9081人と過去最多を記録。15年の前回調査より6万3868人(4.3%)も増加した。市自体の出生数は減っているが、それでも自然増と転入超過による社会増が続いたのが人口を押し上げた格好だ。

出所:川崎市「令和2年国勢調査結果速報」より
特筆すべきは、2005年の調査からすべての区で人口が増えていること。増加率が最も高いのは武蔵小杉駅周辺の再開発が目覚ましい中原区で、前回調査から6.6%増(1万6256人)、次いで幸区6.4%増(1万298人)、川崎区4.4%増(9850人)という結果だった。
これに伴い市内の世帯数も74万6866人と過去最多となった。ただし、1世帯の平均人数は2.06人と過去最少を記録することに。川崎区は1.89人、中原区・多摩区は1.96人と2人台を割り込んでいて、単身世帯が多いことを示している。賃貸ニーズの高い彼らをターゲットにした不動産投資に向いているだろう。

これら以外にも魅力なエリアはある。例えば、市中部に位置する高津区の溝の口。東急田園都市線と大井町線、JR南武線の3路線が乗り入れていて、川崎区などの中心地や渋谷など大都市へのアクセスが30分もかからず便利な地域だ。通勤時間を短くしたい会社員に向いている。
かつ、多摩川の対岸にある東京都世田谷に比べると家賃もかなり安い。かといって、駅前にはマルイやノクティプラザといった商業施設や飲食店街が広がり、日常生活に困らない。そう考えると、単身者の多い川崎市全域が不動産投資に有利なエリアかもしれない。
今後も人口は増え続け30年ころに
ピークの160万人超を迎える見通し
川崎市によると、市の総人口は今後も増え続け、2030年ころに160万人3000人に達する見通し。中原区に関してはその10年後に約28万人のピークを迎えるという。住宅需要はますます強くなっていくだろう。
人口最多になったのは川崎市だけではない。神奈川県によると、昨年10月1日時点の県内総人口は924万411人と過去最多。100年間で7倍に拡大した。そのうち、横浜市の人口は378万人超と、こちらも過去最多。
交通の利便性や生活環境の良さもあるが、新型コロナにより都内からの転入者が増えたことも要因として挙げられる。地域を活性化させる最大の原動力は人の数。川崎はもちろん、神奈川の大都市はますます成長し、住むのに魅力的になる可能性を秘めている。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)