横浜駅と歩行者用デッキで繋がり
きた西口エリアの一等地に誕生
横浜駅きた西口近くの鶴屋町一丁目で進んでいる、横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業。相鉄不動産と東急が参加組合員として参画し、地上43階、地下2階、高さ約178m、延べ床面積79,333㎡の超高層ビルが、2024年春に開業予定している。
鶴屋町一丁目は、きた西口より帷子川の分水路を渡った先に広がるエリア。飲食店が点在するほか、プロボクサーの井上尚弥選手が所属する大橋ボクシングジムがある。一般の人はあまり馴染みのないエリアだったが、2020年6月にJR横浜鶴屋町ビルが誕生。ほぼ同時期にできたJR横浜タワーと、ペデストリアンデッキのはまレールウォークで結ばれたことでイメージが変わりつつある。
「横浜駅きた西口鶴屋地区再開発ビル(仮称)」は、JR横浜鶴屋町ビルとJR横浜タワーの間、2018年まで相鉄高速バスセンターがあった場所に誕生する。もちろん、これら3つのビルははまレールウォークで繋がり、きた西口エリアがさらに注目されるのは間違いないだろう。
ホテルやマンションなどが入る
横浜市内で3番目に高いビル
建物の最大の特徴はシンボリックなタワー形状になること。約178mの高さは、横浜市内では横浜ランドマークタワー(同約296m)、ザ・タワー横浜北仲(同約200m)に次いで3番目。つまり、横浜駅周辺では最も高い建物になるということだ。
構成は、1~4階が商業施設(4階にはホテルのロビーもあり)、5階が集合住宅のロビー、6~12階がホテル、13~41階が459戸の集合住宅、そして42・43階は複合施設となっている。横浜駅直結のタワーマンションのため、人気が高くなるのはもちろん、多くの人達が暮らすことで、街の雰囲気も大きく変わっていくことが期待できる。
国際都市にふさわしい街を目指し
今後も変貌し続ける横浜駅周辺
6社局が乗り入れ、乗降客数では新宿、池袋、渋谷に次ぐ4番目に多いことで知られる横浜駅。1872年に誕生した横浜駅は1915年に現在の高島町駅付近に移転し、初代横浜駅は桜木町駅へ改称。その後、1928年に現在の地に移転し、3代目の横浜駅となる。
横浜駅周辺は常に何かしらの工事が行われているといわれてきたが、それもそのはず、1928年の移転以来、周辺エリアを含めると工事が一度も止まったことがないという。その様子から、日本のサグラダ・ファミリア(1882年着工、2026年竣工予定)とも呼ばれている。
実は、横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業はJR横浜タワーやJR横浜鶴屋町ビルも含めて、横浜市が掲げる開発計画「エキサイトよこはま22」のひとつとして位置付けられている。その内容は、横浜駅周辺を国際都市の玄関口としてふさわしいまちへ整備していくもので、計画は「まちづくりビジョン」、「基盤整備の基本方針」、「まちづくりガイドライン」の 3 編から 構成されている。
対象となるエリアは駅周辺の広範囲に及び、「横浜駅きた西口鶴屋地区再開発ビル(仮称)」の竣工で第1ステージが終了し、一区切りつくのだという。続く第2ステージでは、魅力のあるまちづくりが継承されるのはもちろん、地震や大雨などの災害対策、SDGsやデジタル化といった社会情勢の変化にも対応。さらに、駅周辺からみなとみらい21地区への徒歩でのアクセスを強化していく予定だ。
横浜市が約20年後をイメージして制作した動画では、西口と東口を繋ぐ連絡デッキが地上に登場し、きた西口エリアでは帷子川分水路に遊覧船が航行するなど、「エキサイトよこはま22」後の様子が描かれている。もちろん、イメージ通りに実現するのは難しそうだが、そこには名実ともに国際都市の玄関口となった姿がある。山下公園や中華街、元町、馬車道といったエリアに負けない魅力のあるまちづくりに期待したい。
健美家編集部