さいたま新都心の開発に伴い開業
駅を中心にエリアは大きく発展
さいたま新都心駅(さいたま市大宮区)は2020年4月に開業した、JR東日本の駅。線路名称上は東北本線1路線のみが乗り入れているが、京浜東北線や宇都宮線・高崎線の列車も停車する。
2020年度の1平均乗車人数は3万9284人で、これはJR東日本管内の駅では89位。新幹線が停まる大宮駅(約18万人:7位)や浦和駅(約7万人:37位)、川口駅(約6万人:49位)など県内のメジャーな駅には及ばないが、2000年の1万5033人からは2倍以上利用者は増えている。

その背景にあるのが、エリアの開発だ。そもそも「さいたま新都心」とは、東京都心機能の「新都心」となるべく計画された業務地区の名称のこと。1990年代後半から、国鉄大宮操車場や片倉工業の跡地で大規模再開発が進められ、2000年にまちびらきが行われた。駅を中心に地上2階レベルで各施設を結ぶ歩行者デッキが特徴で、都市計画道路、区画街路、ライフラインの共同溝、雨水の調整池などを計画的に整備している。
まちびらき以降の発展も目覚ましい。同エリアは南北に走るJR線を挟んで東西にわかれていて、東口にはショッピングセンターの「コクーンシティ」やビジネスホテル、大宮警察署、造営局のさいたま支局、学校などが広がる。西口にはライブでお馴染みの「さいたまスーパーアリーナ」、さいたま新都市合同庁舎、飲食店やシティホテルが入るJRさいたま新都心ビル、日本郵政グループさいたまビル、NTTドコモさいたまビルなど大手企業のビジネス拠点が多く並び、さいたま赤十字病院・埼玉県立小児医療センターといった医療機関も。県内有数のビジネス・商業拠点に成長している。今年1月には同市北区から東口にアパレル大手のしまむらの本社が移転し、3月には新社屋隣に同社が運営する「アベイル」「バースデイ」「ファッションセンターしまむら」が入る商業施設「さいたま新都心ファッションモール」がオープンしたことでも話題になった。

総戸数1411戸の大規模マンション
「SHINTO CITY」がついに竣工
エリアの発展はこれに留まらない。今年7月には埼玉県最大級の総戸数1411戸・地上15階建て大規模マンション「SHINTO CITY(シントシティ)」が、第1期まちびらきを迎えた。これは、東京建物や住友不動産、野村不動産など事業主6社が開発中のプロジェクトで、場所は東口から徒歩5分、しまむら本社とさいたま新都心バスターミナルのすぐ南。エリアは3つの街区にわかれるが、今年3月には1街区が竣工、入居を開始していた。

出典:東京建物プレスリリースより
まちびらきから21年しか経っておらず、景観はきれいで整備も行き届き、今後の開発にも期待ができる。かつ、地下トンネルの共同溝や官庁街にはヘリポートや通信ネットワークを整備、さいたまスーパーアリーナには7000人に対して3日分の食糧などを提供する備蓄機能を備えるなど、災害対策も万全。2018年には防災公園の役割を持った「さいたま新都心公園が」を開設した。商業施設も充実しているので、日常の生活にも困らない。大宮駅や北与野駅にも近く都心へのアクセスも良好だ。住むのに申し分のないエリアだろう。
それを示すかのように、昨年10月1日時点のさいたま市の人口は132万人と、5年前に比べて6万人以上増えている。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、さいたま新都心の標準的な物件の賃料は直近3年間で7.86%上昇し、これは埼玉県の変動6.23%に比べると高い。まちが発展することで、賃貸ニーズも広がっている。今後の成長にも期待したい。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)